みなさんはファンクショナルトレーニングがどのようなトレーニング法なのかを知っていますか? ファンクショナルとは「機能的」という意味で、体をより機能的に使うためのトレーニング法。ファンクショナルトレーニングをとり入れることで、競技のパフォーマンスが上がるだけでなく、日常生活にもいい影響があるといいます。そこでコンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に、ファンクショナルトレーニングについて教えていただきました。
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ファンクショナルトレーニングとコアトレ、ウエイトトレーニングの関係とは?
私たちの体は、600個の筋肉と206個の骨で形成されています。体を動かすとき、これらの筋肉や骨を最適な組み合わせでスムーズに動かすことができれば、それはすなわち機能的(ファンクショナル)だということ。
世の中にはさまざまなトレーニングが存在しますが、ファンクショナルトレーニングと一緒にとり入れるべきなのがコアトレ。そして、ファンクショナルトレーニングとは対極にあるのがウエイトトレーニングなのです。
コアトレの“コア”とは、ざっくりいうと体の胴体の部分。コアはファンクショナルに体を動かそうと思ったとき、とても重要な要素だと言われています。
「体を動かすと、必ず手と脚も一緒に動きますよね。さらに手と脚は胴体についているため、胴体がしっかりしていないと、きちんと動かすことはできません。これがコアトレの大切なポイントです」(桑原先生)
コアトレ、ウエイトトレーニングにはどんな効果がある?
コアの中で、最も中心にあるのがインナーユニット。インナーユニットは、腹筋群の深部にある腹横筋、背骨にくっついている多裂筋、胸のいちばん下にある横隔膜、骨盤の上にありハンモックのように内臓を支えている骨盤底筋群という筋肉が集まってできています。コアをしっかりと安定させるためには、しっかりとこの部分を鍛えることが必要。
ですが、特に腹横筋は、鍛えるのが難しいと言われる部位。例えば腹筋で鍛えることができるのは、腹直筋や腹斜筋だけで、腹横筋に刺激が与えられることはほとんどありません。この筋肉が緩むと、ポッコリお腹の原因に!
「例えば走るという行為にしても、長い距離を走っていると、疲れからだんだん重心がぶれてきてしまいます。これはコアがぶれてしまっている、ということでもあるのです」(桑原先生)
一方、ウエイトトレーニングにおいて大切なのは、いかに力を不合理に使って筋肉に刺激を与えるかということ。ファンクショナルトレーニングとウエイトトレーニングは、それぞれ対照的な要素を持っていますが、どちらかのトレーニングだけを行えばいいということではありません。筋肉が無い所に力は生まれませんし、たとえ筋肉がついたとしても機能的に使えなければパフォーマンスは上がりません。
ウエイトを使うアームカールを行うにしても、自分は今、体を上手に使って(機能的に使って)重さをより軽く感じるように持ち上げるファンクショナルトレーニングを行っているのか、力を非効率に使ってより重く感じるように持ち上げるウエイトトレーニングを行っているのか、きちんと意識して行うことが大切です。
競技のパフォーマンスを上げるには何が必要?
“競技”ということをメインに考えると、もちろん両方大切なトレーニングであることに変わりはありません。まずは筋力を鍛えるためにウエイトトレーニングをおすすめします。そしてそこに反復によって生み出されるスピードが加わるとパワーが生まれます。では筋力もパワーもあるときに、それらをどう使うのがベストなのか。そこで大切なのがファンクショナルなのです。
とはいえ、筋肉はそんなに簡単には増えてくれません。そのため筋トレは成果が出にくいからと、途中で諦めてしまう人が多のも事実。ですがもともと持っている筋肉の最適な使い方を覚えるだけでよいファンクショナルトレーニングは、その成果も出やすいといいます。
ウエイトトレーニングとファンクショナルトレーニングを上手に活用して、動ける体作りを目指しましょう!
文/FYTTE編集部