新型コロナウイルスで、外出を自粛する生活が続いていますね。感染拡大防止のために、手洗い・うがい・マスクというのは、みなさんもよく知るところだと思います。それと同時に、「免疫力を高める」というのも注目ワードなのでは? じつは人間の免疫力の活性化には腸内細菌叢(腸内フローラ)が重要な役割を担っているそう。一般社団法人ウェルネスフード推進協会主催の緊急webセミナー「#STAYHOME Afterコロナを考える 免疫と腸内フローラ研究最前線」で知った、免疫力アップの方法をご紹介します。
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免疫力と腸内フローラは深い関係がある
今、多くの人たちが「#STAY HOME」ということで、家で過ごす時間が増えていると思います。家にこもることによって起きるストレスや運動不足、不規則な食事は免疫力を下げかねません。
今回は、食事の面から、免疫力を高めるためにはどうしたらよいのか、メタジェン代表取締役社長CEOで慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授の福田真嗣先生が教えてくださいました。
「免疫に関わる細胞の機能には、腸内フローラが大きな影響を及ぼしています。たとえば大腸炎やアレルギーを抑制するヘルパーT細胞の一種である制御性T細胞の分化・誘導の促進には、腸内フローラから産生される酪酸という短鎖脂肪酸の一種が重要なことがわかっています。
免疫系は、自分ではないものを排除して自分を守るためのシステムです。大きく『全身免疫系』と『粘膜免疫系』に分けられますが、感染症の予防としては、体外環境と体内環境を隔てるバリアである『粘膜免疫系』の働きが重要になってきます。
『粘膜免疫系』は口腔や鼻腔、腸管腔などの粘膜に細菌が侵入するのを防いでいるわけですが、その代表選手が免疫グロブリンA (IgA)です。IgAを増加させれば感染症を予防できる能力が高まります。この、IgAの増加にもまた、腸内フローラが大きく関わっています。
腸内フローラは、ヒトの大腸内にある未消化物を分解して栄養とします。未消化物には食物繊維や難消化性のタンパク質などが含まれます。腸内フローラは特に食物繊維を分解することで短鎖脂肪酸(SCFA)を産生しますが、このSCFAが腸管粘膜においてIgA産生を促進します。
つまり、腸内環境と免疫とは深い関係があり、腸内環境をよくするためには食物繊維が重要な役割を果たすということです」
「合う食物繊維」は人によって違う
「ではどんな食物繊維が免疫力アップに役立つのでしょうか。
たとえばイヌリンが30%入ったエサをマウスに与えると、腸内フローラにより代謝されてSCFAのひとつである酪酸が増加し、インフルエンザ感染によるマウスの致死率が低下したという報告があります。
また、マウスやラットにオリゴ糖の一種であるフラクトオリゴ糖を与えることで、腸内のIgA量が増加したというデータもあります。
けれども、ヒトの腸内環境は個人差が非常に大きく、ラットやマウスのように一概に『この食物繊維やオリゴ糖がIgAを増やす』とは言い切れません。
ヒトの腸内フローラのバランスはその人のライフスタイル、特に長期的な食習慣に左右されることが知られており、双子でさえ違います。免疫力も人によって異なりますし、免疫力を高めるためのアプローチも、人によって異なるといえます。
ですから、自分に合った食物繊維で、自分の腸内環境を改善していくことが大切です。たとえ“トクホ”が表示された食品だとしても、自分に合わなければ効果がない可能性もあるのです。
自分に合う食物繊維をとれば、何かしらの体感を得ているはずです。こうした体感を大切にして、腸内環境に合う食物繊維を探してみてください。
そのためにまず大切なのは、自分の腸内フローラがどのようなバランスになっているのか知ることです。それがわかれば、自分の腸にもともといる腸内フローラに見合ったエサ(食物繊維)をとることができます。
とはいえ、日本人は全般的に、食物繊維が不足している傾向がありますし、腸内環境を変えるアプローチは『食』にあります。まずは食物繊維を多くとる食生活を意識してみてください」(福田先生)
「血液型を知るように、自分の腸内環境を知る日が来れば…」と福田先生。私も先生のお話を聞いて、ますます自分の腸内環境に興味が湧いてきました。
とにもかくにも、まずはきちんと食物繊維を摂取することが大事なのだとわかったところで、管理栄養士・コンビニ外食研究家の浅野まみこ先生より、免疫力アップ!の大腸活レシピを教えていただきました。
発酵食品×水溶性食物繊維の組み合わせがポイント! 巣ごもり便秘解消の大腸活レシピ
「毎日、腸内環境は変わります。だから常に、腸内環境をよくする食生活を意識することが大切です」と浅野先生。具体的には発酵食品などの補菌食材と、食物繊維の含まれた育菌食材をくみ合わせて食べるのが◎。腸活するうえで、相乗効果が得られるそうです。
【補菌食材】
ビフィズス菌、納豆菌、こうじ菌、酪酸菌などが含まれる食材
…ヨーグルト、納豆、チーズ、みそ、ぬか漬けなど
【育菌食材】
水溶性食物繊維やオリゴ糖などが含まれる食材
…チコリ、ごぼう、レンコン、玉ねぎ、にんにく、菊芋、果物(ペクチン)、冷めたご飯など
それでは、浅野先生が教えてくれた「大腸活レシピ」をご紹介しましょう。
チコリとカッテージチーズと牛肉の “大腸活×温活”ホットサラダ
サラダは体を冷やしがちですが、ホットサラダなら体温を上げるのにも役立ちます。補菌食材であるビフィズス菌入りヨーグルト×水溶性食物繊維イヌリンが豊富なチコリで大腸活! ビフィズス菌を十分にいかすためには、ヨーグルトは加熱しすぎず最後に合わせるのがポイントです。
【材料(2人分)】
チコリ…1個(100g)
紫たまねぎ…1/4個
クレソン…1束
牛肉薄切り…80g
オリーブオイル…小さじ1
<A>
塩・黒こしょう…少々
しょうゆ…小さじ1
にんにく(みじん切り)…1かけ
<B>
水切りしたビフィズス菌入りヨーグルト…大さじ1
オリーブオイル…大さじ1
レモン汁…大さじ1
塩…0.5g
黒こしょう…少々
カッテージチーズ…大さじ2
【作り方】
(1)チコリは1枚ずつはがす。紫たまねぎは薄切りにし、水にさらす。クレソンは3cm幅に切る。
(2)フライパンにオリーブオイルをひき、牛肉、<A>を炒める。
(3)ボウルに(1)(2)<B>、カッテージチーズを加え、ざっくりと合わせ、器に盛る。
腸も喜ぶ! ピリッと大人の すりおろしれんこんハンバーグ わさびヨーグルトがけ
「わさびとヨーグルトとゆずこしょうがとっても合いますよ!」と浅野先生。水溶性食物繊維を多く含むれんこん&ごぼうを混ぜ込んだハンバーグと、ピリッと辛いヨーグルトソースで免疫力アップが期待できます!
【材料(2人分)】
ごぼう…5cm
たまねぎ…1/8個
油…小さじ1
れんこん…80g
豚ひき肉…200g
卵…1/2個
塩…1g
黒こしょう…少々
油…大さじ1
<ソース>
ビフィズス菌入りヨーグルト…大さじ2
わさび(チューブ)…3cm
ゆずこしょう…小さじ1
しょうゆ…小さじ1
水菜…30g
トマト…1/2個
【作り方】
(1)ごぼう、たまねぎはみじん切りにし、油小さじ1を加え、 炒める。
(2)ボウルに、すりおろしたれんこん、豚ひき肉、溶きほぐした卵、(1)、塩、黒こしょうを加えよく混ぜ合わせ、 2つに分けて丸める。
(3)別のフライパンに残りの油を加え、中火で熱し、(2)を焼く。途中返して、水大さじ1を加え、ふたをし、蒸し焼きにする。
(4)ソースの材料をすべて合わせておく。
(5)器に、(3)を盛りつけ、(4)のソースをかける。お好みで野菜を添える。
腸すっきり! イチゴとバナナのヨーグルトスムージー
冷凍いちごとバナナを使ったヨーグルトのスムージー。トッピングに添えたアーモンドからは、良質な油をとることができます。じつは油脂分をきちんととったほうが、便秘が解消しやすいとのこと。また、女性に多い水分不足もおいしく解消できます。ヨーグルトは攪拌しすぎると菌が弱くなるので、最後に混ぜ合わせる程度にしましょう。冷凍いちごは冷凍ブルーベリーで代用してもOK。
【材料(2人分)】
<A>
いちご(冷凍)…90g
バナナ…1本
レモン汁…大さじ1
水…50ml
ビフィズス菌入りヨーグルト …150g
<トッピング> アーモンド…5粒
【作り方】
(1)ミキサーに、<A>を加え、なめらかになるまで攪拌する。
(2)(1)にヨーグルトを加え、10秒ほど攪拌する。
(3)グラスに注ぎ入れ、刻んだアーモンドをふる。
腸お手軽! トマトとヨーグルトカレーwith雑穀ごはん
レトルトカレーを使った一品です。身近な材料でできるのがうれしいですね。カレーに加えるトマト類に含まれるリコピンには、抗酸化作用といううれしい効能が。加熱したほうが働きがいいので、一緒に温めます。一方、ヨーグルトは加熱しないのがポイント。火を止めてから加えます。雑穀ごはんにすると、穀物に含まれる水溶性食物繊維をとることができるのでオススメです。
【材料(2人分)】
レトルトカレー(辛口)…1袋
トマトジュース…100ml
トマト…1個
<A>
トマトケチャップ…大さじ2
しょうゆ…大さじ1
バター…大さじ2
ビフィズス菌入りヨーグルト…大さじ2
雑穀ごはん…適量
ゆで卵…1個
乾燥パセリ…お好みで
【作り方】
(1)トマトはくし切りにする。
(2)鍋にレトルトカレー、トマトジュースを入れ、温めたところに、(1)、<A>を加える。全体が温まったところで火を止め、ビフィズス菌入りヨーグルトを加える。
(3)温めた雑穀ごはんに(2)をかけ、半分に切ったゆで卵を添える。
「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」と浅野先生。「1年間、1095回の食事の中で、発酵食品を食べる回数、食物繊維を食べる回数を増やしていきましょう」と言っていました。
どんな発酵食品や食物繊維をとると、自分の体はどう反応するのか、ということを気に留めながら、免疫力を上げていけたらいいですね。