妊娠中はじっとしているのではなく、体を動かすほうがよいといわれます。母子の健康のためにも運動は奨励されているのです。このたび海外の研究から、運動のメリットとして「妊娠糖尿病」を防ぐ効果について報告がありました。毎日の運動でたしかな効果を確認できたといいます。
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妊娠中の運動効果とは?
日本産科婦人科学会によると、妊娠糖尿病とは、妊娠してから初めて見つかった血糖値の異常な状態を指します。血糖値を正常な範囲にコントロールするのが大事。そうでないと、妊娠中や出産時に合併症を発症したり、母子ともに将来、糖尿病になるリスクが高くなったりと重大な問題につながる可能性も。妊婦検診では血糖値検査が欠かせません。
このたび、米国の研究グループが注目したのは、妊娠初期の運動の効果です。妊娠初期に運動に取り組むことで、その後の糖尿病リスクにどのように影響するのかを検証しました。さまざまな人種や民族を含むカリフォルニア州の妊婦2200人以上のデータを分析しました。妊娠前の体重は広範囲にわたり、参加者はアンケート形式で妊娠中の運動について報告しています。
血糖値の異常を避けられる
ここからわかったのは、ウォーキングなどの中程度の運動に取り組むことで、妊娠糖尿病のリスクを下げられるということ。研究グループによると、通常は100人当たり6〜10人が妊娠糖尿病になるため、毎日少なくとも38分、中程度の運動をすると、100人当たり妊娠糖尿病になる人が2人減るというものでした。割合から見ると大きな効果です。この運動により、血糖値の検査で異常値が出るリスクも100人当たり4.8人低下させることができました。
現在のガイドラインが推奨している運動時間は少なくとも30分を週に5日ですから、それよりも数分だけですが多い結果となりました。運動で妊娠糖尿病を防ぐための運動を考えるうえでの参考になりそうです。主治医と相談しながら、やはり妊娠中は意識的に体を動かすことが大切なのでしょう。
<参考文献>
Team Led by Researcher Finds Increased First-Trimester Exercise May Reduce Gestational Diabetes Risk
https://news.utk.edu/2021/01/11/team-led-by-researcher-finds-increased-first-trimester-exercise-may-reduce-gestational-diabetes-risk/
Ehrlich SF, Ferrara A, Hedderson MM, Feng J, Neugebauer R. Exercise During the First Trimester of Pregnancy and the Risks of Abnormal Screening and Gestational Diabetes Mellitus. Diabetes Care. 2020 Dec 21:dc201475. doi: 10.2337/dc20-1475. Epub ahead of print. PMID: 33355301.
https://care.diabetesjournals.org/content/early/2020/12/15/dc20-1475