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胃のムカムカ、不快感「不調が胃にくる」人の原因と対策は? 消化器内科の工藤先生がアドバイス
現代人は仕事、家事、人間関係とたくさんのタスクがありストレスを抱えがち。胃の不調の原因はさまざまですが、ストレスによって胃痛、胃もたれ、食欲不振などが引き起こされることがあります。また女性は、ホルモンバランスの乱れからくる胃の不調にも注意が必要。ストレスとホルモンが胃に与える影響について、消化器内科医の工藤あき先生にうかがいました。
Contents 目次
ストレス性胃炎かも!? 交感神経優位が続くと胃の消化力が低下
強いストレスを感じたときに胃がもたれる、食欲が落ちるといった不調を経験したことはありませんか。それはストレス性胃炎のサインかもしれません。
ストレス性胃炎の原因となる、自律神経の乱れやストレスホルモンについて工藤先生に解説していただきました。
「自律神経には、活動時に働く交換神経と、リラックス時に働く副交神経があり、それぞれがバランスよく働くことで心身の健康を維持しています。自律神経は消化器の働きをつかさどり、副交感神経が優位だと胃の消化活動は活発化します。逆にストレスを感じて交感神経が優位に働くと消化力が低下するなどさまざまな胃の不調が現れます。
また食事をとると胃はふくらみ、収縮することで食べものを消化します。ストレスを受けてストレスホルモンが分泌すると胃の動きが悪くなり、正常に胃がふくらまないことがあります。そうなると食べる量が減ったり、きちんと消化できず胃がもたれたりします」(工藤あき先生)
夏は冷たいものの食べ過ぎによる冷えや、室内と屋外の気温差によって自律神経のバランスが乱れて胃の不調が出やすくなるそうです。では、緊張すると胃が痛くなることがありますが、胃の中で何が起こっているのでしょうか。
「ストレスを受けて胃酸がいつも以上に分泌されて、粘膜が傷つき胃痛を発症することがあります。しかし胃酸の分泌量は増えなくても、ストレスにより胃酸に対する感受性が高まり痛いと感じている可能性も考えられます」(工藤あき先生)
食事量の調整や暴飲暴食の見直しが対策の第一歩
ストレス性胃炎の対処法は、睡眠や運動といったストレス対策も大切ですが、まずは胃への負担を減らすという意味で食生活を見直してほしいと工藤先生は言います。
「胃が不調のときは、ムリにふだんと同じ食事量を維持する必要はありません。食べる量を減らし、アルコールやカフェインの摂取を控えて食事による胃への負担を減らすと症状の改善が期待できる場合があります。仕事での飲み会(会食などの接待)が続くときは、朝と昼は食事量を控えめにするなど、できる範囲で調整して胃を労わるように心がけましょう」(工藤あき先生)
女性ホルモンの変動と胃の健康は密接!?
続いて、女性ホルモンと胃の不調の関係について工藤先生の教えていただきました。女性は生理や更年期でホルモンバランスが変化し、それに伴い胃に不具合が現れやすくなるそうです。
「生理前は、卵巣で作られるプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が増え、子宮内膜をやわらかくして受精卵の着床と妊娠への準備が始まります。排卵期にプロゲステロンの分泌が始まると消化管の筋肉がゆるんで消化活動が低下し、胃もたれを起こしやすくなります。ふだん通り食べられないと不安を覚え、そのストレスがさらなる胃の不調を引き起こしかねません。調子が悪いときはムリに食べようとせず、しっかりと水分補給をしながら食べる量や回数を減らして胃を休ませてあげましょう。また食べたくなったときに食欲に応じた量の食事をとれば問題ありません」(工藤あき先生)
生理前などの不調を自分でコントロールできている人や、とくに問題なかった人でも、45歳~55歳になると更年期の症状として胃の不調を訴える女性も少なくありません。食欲が落ちて体重が大幅に減るケースもあると言いますが、何が原因なのでしょうか。
「女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの低下による自律神経の乱れが考えられます。このとき交感神経が優位になりやすく、胃の機能が低下して胃もたれ、むかつき、胃の痛みなどが引き起こされます。日常生活に支障が出るほどつらい場合は医療機関を受診することをおすすめしますが、まず内科を受診し胃に重篤な病気がないか診てもらいましょう。異常がなければ更年期障害の可能性が考えられるので、婦人科を受診しホルモン補充療法や漢方薬といった治療法を医師と相談のうえ試してみるといいでしょう」(工藤あき先生)
仕事、家庭、人間関係、生活環境の変化などによって受けるストレス。加えて、女性はホルモンの影響を受けやすく、体と心のバランスが乱れがち。人それぞれ不調の現れ方は異なりますが、ツライときはガマンせず、休息をとり、必要があれば医師の診察を受けるなど対処して自分を労わるケアを心がけたいですね。
取材・文/北林あい