CATEGORY : ヘルスケア |メンタル
医師に聞いた。ストレスが免疫力の低下を招くことも。見過ごすことができない免疫とメンタルの関係とは?
自分以外の異物を見つけて排除し、体を守る仕組みである「免疫」。私たちの健康に不可欠な機能ですが、じつはストレスによって免疫のバランスがくずれてしまうことも。ちょうどよい免疫力を保つためのメンタルとは? ストレスをうまく発散するには? 内科医の工藤あき先生に聞きました。
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「社会とのつながり」の有無に左右される免疫力

メンタルのあり方は、免疫力と関係があるのでしょうか。
「体に付着したウイルスを落として免疫力の低下を防ぐという意味では、入浴や手洗い、歯みがきなど、日常生活の中で体を清潔に保つ習慣が役立ちます。一方で、『笑い』や『社会とのつながり』といったメンタルと深い関係のある要素が免疫力によい作用を及ぼすという研究結果もあります。
たとえば『社会とのつながり』という面で言うと、今、私たちは『敵から食べられるかもしれない』というリスクはもたずに生活できていますが、社会から孤立している状態だと『自分が攻撃されている』『自分は攻撃されるリスクが高い状態である』と本能的に体が判断するらしいのです。するとそれがストレスとなり、体に炎症を起こします。
炎症に対する防御反応として、免疫細胞が局所的に使われてしまうため、いざウイルスのような外敵が体外から入ってきたときに、守りが弱くなってしまう、そういう作用があるという研究が発表されています」(工藤あき先生。以下同)
重たい気持ちがずっと続くようなストレスは、免疫細胞に負荷をかける

ストレスがかかっていると免疫力が低下するのですね。
「体にストレスがかかり続けている状態とは、体の中でずっと炎症があるようなもので、免疫細胞は長期にわたってその炎症と戦っているわけです。だから、ウイルスがバッと入ってきたときには、すでに息切れしていて戦えない、といったイメージです。
メンタルを整えることで少しずつストレスを減少させることができれば、だらだら続いている炎症を抑えることができ、免疫細胞の労力をそこまで割かなくて済むようになります。すると、感染症など外敵が来たときに体が戦えるぞっという仕組みですね。
もちろん息が切れるような運動をあえて数分間するといった、短期的な体にいい刺激となるストレスもあります。でも、心の中にストレスみたいなのがずっとある。気持ちの重たさが何週間も何か月も続いている状態は、やはり免疫にとってもよくないと言えます。
免疫細胞の数が限られていることを考えても、何とか気を紛らわせてストレスを減らし、ストレスへの防御ではなく、免疫力を高める方向で免疫細胞を使っていきたいですよね」
ヨガや瞑想、推し活や涙活もストレス軽減に効果的

ストレスによる炎症を減らすために、具体的にはどのような方法が考えられるでしょうか。
「瞑想やヨガなどで心を鎮めることがよいのはもちろん、体を動かして、脳ではなく体が疲れるような活動もおすすめです。何かしらの作業に没頭してみたり、読書やぬり絵、趣味に夢中になれる時間を作るのもいいです。
社会とのつながりという点では、人と会って話す機会を増やすとか、友だちと会う頻度を増やすというのも有効でしょう。推し活もいいですね。推しを通して“ひとりではない”と思えますし、誰かを応援する、誰かの幸せを願うだけでも、幸せなホルモンが出て心身ともにリラックスできるといわれています。
『涙活』も効果が期待できます。感動によって生まれた涙にはストレスホルモンが含まれています。泣ける映画やドラマを見ることで感動の涙を流すことはストレス発散に役立つ可能性があるのです」
口角を上げるだけで、脳は笑顔と勘違いする

「笑い」も免疫を高めるために効果的だそう。先生は「笑い」のためにされていることはあるのでしょうか。
「生活の中で自然に笑いや笑顔を増やすのって難しいですよね。私も悩み悩みですが、口角を上げるだけでも、脳が笑顔と勘違いすると言いますから、口角を上げるように努めたりしています。子どもを叱ってしまったあとに、ひとりでふぅ…と思って、口角だけ上げてみたりして、マイナスの感情にとらわれないように心がけています。
呼吸法や瞑想なども生活の中にとり入れています。瞑想では雑念が浮かぶこともありますが、呼吸に意識を集中することで、なんとか『無』になる時間をもちたいと思っています」
そんな工藤先生が、心と体を整えるためにもうひとつとり入れているのは、朝の散歩だそう。次回の「免疫と運動」のテーマの中でくわしく教えていただきます!
取材・文/森下真理



