食物繊維や抗酸化成分を豊富に含む「果物」や「野菜」。病気をはねのけるパワーがあるという研究結果の報告が続いています。米国での報告では、世界で亡くなっている人のうち、心臓と血管の病気の多くがそれらの不足によるのだそう。習慣的に食べることが大切なようです。
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世界113カ国を調査
今回の研究を行ったのは、米国のタフツ大学の研究グループです。研究グループによると、野菜と果物のよいところとして、ひとつは、やはりさまざまな栄養が豊富に含まれていること。食物繊維、カリウム、マグネシウム、抗酸化物質、フェノール類(ポリフェノールなど)。こうした栄養素があるために、健康につながることはもとより、病気を防ぐような効果にもつながるといいます。もうひとつは、腸内の善玉菌の種類を増やしてくれることも重要だそう。こうした腸内細菌の影響によって、太りにくくなったり、心臓や血管の病気が減ったりする効果にもつながるようです。
このたびわかったのは、果物と野菜を食べることで、心臓と血管の病気が実際に減りそうだという事実です。研究グループは、113カ国(世界人口のおよそ82%)の食事についての調査、食品の入手可能性に関するデータから、果物や野菜を食べる量と病気との関係を調べたのです。果物の最適摂取量は1日300 g(小さなリンゴ2個ほど)、野菜(豆類を含む)の最適摂取量を1日400 g(生のにんじん3カップほど)を基準として足りているか、不足しているかを計算しています。
若い成人で影響大きい
分析の結果として、世界の食卓に並ぶ食事を見ていくと、果物や野菜の不足が、病気の多さに直結しているようなのです。具体的には、果物が足りないために脳卒中で亡くなっている人は130万人近く、冠動脈性心疾患(心臓の動脈が狭くなること)によって亡くなっている人は52万人以上に上るそう。野菜については、それぞれ20万人と80万人以上です。果物や野菜が、いわば命を救う可能性もあるというのです。研究グループによると、果物の摂取不足による影響は、野菜の摂取不足の2倍近いようです。
ちなみに、果物が足りていないのは、東南アジア、サハラ砂漠よりも南のアフリカ諸国。野菜が足りていないのは、中央アジアとオセアニアの諸国だそうです。
なお、若い人が特に心臓や血管の病気につながりやすいそうで要注意。女性は幸い男性よりも摂取量が多く、病気を防ぐことができているといいます。
研究グループによると、これから果物、野菜、豆類のような食品をきちんと食べることが世界的にますます重要になるだろうといいます。ふだんから、意識的に果物や野菜を食べるよう心がけておくことが大切と言えそうです。
<参考文献>
FS01-01-19 – Estimated Global, Regional, and National Cardiovascular Disease Burdens Related to Fruit and Vegetable Consumption: An Analysis from the Global Dietary Database
https://www.eventscribe.com/2019/ASN/fsPopup.asp?Mode=presInfo&PresentationID=544813
Millions of cardiovascular deaths attributed to not eating enough fruits and vegetables
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/06/190610100624.htm