風邪・インフルエンザの流行シーズンがやってきました。年末年始に向け、なにかと忙しいこの時期は、万全な体調で過ごしたいもの。「今年は絶対かからないぞ」という意気込みとともに、手洗い・うがい、マスク、加湿器の活用など、セルフケアに力を入れている人も多いのでは? ところがせっかくの対策も、やり方を間違えれば意味がないどころか逆効果になってしまうことも。あなたのセルフケアはOK? NG? 総合内科専門医でいりたに内科クリニック院長の入谷栄一先生にジャッジしていただきました。
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意外に知らない、効果的な手洗い・うがいの方法は?
検証1「1日3回、石けんでしっかり手を洗っています」
→3回では不十分。石けんを使わず「こまめに水洗い」のほうが効果的
風邪やインフルエンザのウイルスは主に「手」を介して体内に侵入するため、「手洗い」は風邪やインフルエンザ予防の基本です。ただ入谷先生によると、手洗いは回数を増やすことで効果が得られるため、1日3回では足りないそう。
「人混みに出かけたり共有物に触れたりするたびに、こまめに手を洗うことがポイントです。ただし毎回石けんで洗うと、病原体から皮膚を守っているよい菌(常在菌)まで落としてしまい逆効果。そもそも手洗いの目的は、手に付着したウイルスを洗い流すこと。石けんがなくても、15秒間流水でこすり洗いするだけでウイルスが約99%減少した、というデータもあります。石けんを使うのは手が汚れたときだけにして、ふだんは10〜15秒の流水手洗いを、こまめにするようにしましょう」
検証2「のどが弱いので、毎日うがい薬を使ってうがいをしています」
→日常的には水道水だけで十分。うがい薬は痛みやはれがあるときに。
うがいをするなら「うがい薬」を使ったほうがよさそうですが、入谷先生はそれに「待った」をかけます。
「うがい薬には殺菌効果があるので、使い過ぎると口のなかのよい菌(常在菌)まで減らしてしまう可能性があります。その結果、ウイルスを防御できなくなってしまうので逆効果です」
そこでオススメなのが、水道水でのうがいです。
「菌が繁殖しないよう塩素消毒されている日本の水道水は、ちょうどよい“うがい薬”。ウイルスは、のどに付着すると約数十分~1時間ほどで体内に吸収されてしまうので、外出時や帰宅後などこまめに行うことで予防効果が高まります。うがい薬はのどの痛みやはれがあるときに使うようにしましょう」
マスクで気をつけたいのは「はずすとき」
検証3「加湿器を使って、部屋の乾燥を防いでいます」
→加湿に加え、1時間に1回は換気も忘れないで
空気が乾燥する冬は、鼻やのどの粘膜も乾燥してウイルスを排除する働きが弱まります。そのため、加湿器を使って室内の乾燥を防ぐのも効果的。
「加湿するならウイルスの感染力が弱まる湿度50〜60%に保つのがよいでしょう。目安は窓ガラスが曇る程度です。特に人の出入りの多いリビングはウイスルスがただよっている可能性があるので、加湿に加え、1時間に1回は換気も忘れずにしましょう」
のどの乾燥を防ぐアイテムとしては、のどあめやガムもオススメ。唾液の分泌が促されてのどがうるおいます。
検証4「風邪をひかないよう、毎日マスクを着用しています!」
→毎日の着用は◎。ただし、使い方を間違わないように注意して
マスクは本来、風邪やインフルエンザにかかった人が周囲に感染を広げないためのもの。ウイルスの侵入を完璧に防ぐことはできないものの、使い方さえ間違えなければ、マスク内に呼気がこもって鼻やのどの保湿効果が得られます。
マスクはまず、表裏・上下を正しく当て、ウイルスが入り込むすき間がないように装着すること。そして特に気をつけたいのがはずすとき。「使用したマスクの表面にはウイルスや菌がたくさん付着しているので、外すときや捨てるときにさわらないよう注意が必要です。同じマスクを何度もつけたりはずしたりするのも、同様の理由でNGです! 一度、はずしたマスクは捨てて、新しいマスクを使うのが理想的です」
取材・文/井上幸恵