高脂肪かつ低炭水化物の食品を中心とする「ケトダイエット」。炭水化物を制限するダイエットが人気を集めるなかで、注目される食事法のひとつです。ダイエットのために取り組む人が多いですが、意外なメリットがあるかも。米国の研究グループが、インフルエンザの予防効果がありそうだと報告しているのです。インフルエンザの流行時期、参考にしてもよいかもしれません。
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ケトダイエットで免疫が…
報告したのは米国エール大学の研究グループ。肉、魚、鶏肉、でんぷん質を含まない野菜を中心にした食事をとるケトダイエットを実践している人で、ウイルスをやっつける「T細胞」の働きが肺のなかで強まることに着目。「インフルエンザを撃退してくれるのでは」と考えたのです。
今回、研究グループは、動物実験を行って、インフルエンザウイルスに対する影響を検証しました。研究グループのリーダーを務めたのは、日本人研究者の岩崎明子教授。「意外な発見だった」と述べるとおり、動物実験を行った結果として、ケトダイエットとインフルエンザとの思わぬ関係が見えてきました。
炎症を軽くするような働きが
ケトダイエットを行うことによって、今回大きく2つの変化がわかりました。まずひとつは、ケトダイエットによって、体のなかで炎症を引き起こす要因のひとつ「インフラマソーム」がつくられないようになること。このインフラマソームは、体のなかで有害な免疫反応を引き起こす悪さのもと。これが減ることで異常な免疫反応が起こることを防ぐことができます。
さらに、研究グループは、ケトダイエットと高炭水化物の比較をして、ケトダイエットだとインフルエンザに感染しても生存する可能性が高くなることを確認しました。なぜこのような命を守る効果が見られたかに関係して、「ガンマデルタT細胞」と呼ばれる免疫細胞が増えていることを確認しており、肺を守っていると考えられました。インフラマソームがつくられないようにすることと、ガンマデルタT細胞をつくり出すことが、インフルエンザから体を守る秘密であると研究グループは考察しています。
まだ人での確認をしているわけではありませんが、本当にこうした作用が現れるとしたらうれしい変化といえるかもしれません。風邪を防ぐには栄養をたくさんとるといいといわれますが、ここにケトダイエットが加わる可能性もゼロではないでしょう。
<参考文献>
Ketogenic diet helps tame flu virus
https://news.yale.edu/2019/11/15/ketogenic-diet-helps-tame-flu-virus
Sci Immunol. 2019 Nov 15;4(41). pii: eaav2026. doi: 10.1126/sciimmunol.aav2026.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31732517
https://immunology.sciencemag.org/content/4/41/eaav2026