Diet
Fitness
Healthcare
Beauty
Lifestyle
東京に蒸し暑い夏が訪れる頃、私の住む欧州北部・ベルギーでは、おいしいベリー類が続々と最盛期を迎えます。ここは北緯50度。北海道よりさらに北に位置するから、暖流の影響で気候は温暖とはいえ、やはり夏は短く、爽やかなのです。今日はここベルギーから、夏の楽しみ、ベリーの収穫からお料理までをお見せしたいと思います。
Contents 目次
家の庭でとれる様々なベリー類をジャムにケーキに楽しむ短い夏
陽射しがまぶしい6月になるとフランボワーズが可憐な実をつけ、次に鈴なりのグロゼイユ（英語ではレッドカレント）が重そうに枝をしならせます。7月にはミルティーユ（英語ではブルーベリー）が青みを増し始め、ミュール（英語ではブラックベリー）が最盛期になる8月半ばには、涼しい秋風が吹き始め、短い夏は終わりを告げます。
フランボワーズやミルティーユは、ほんのひとつかみでも、お店では300円はするので、庭に出れば好きなだけ摘んでパクパク食べられるのはうれしいかぎり。完熟したベリーたちは、甘さも香りも抜群ですが、長持ちしないのが玉にキズ。そこで、毎日せっせと食べながら、残りは保存の効くジャムにする、ということになります。
わが家のベリージャム造りは夫の仕事。そもそも、野菜作りもベリーの灌木の手入れも、夫の領域なので、私には手だしができない。私がするのは、ペクチン入りのジャム専用砂糖を買ってくることくらい。
まずはベリーを摘むところから。ヘタや花びらの残りが入るとそれを取り除く手間がかかるので、ジャム用収穫はていねいに。収穫したベリーを軽く洗い、水気を切って重さを計る。ベリー１kgに対し、ジャム用砂糖を500gが目安。ブルーベリーの場合は、そのままでは水分が不足なので、ベリー1㎏あたり250mlほどの水を使います。深鍋に水を沸騰させる。砂糖を加えて溶けたら弱火にし、ブルーベリーを入れ、ゆっくりかき混ぜながら弱火で15分ほど煮ます。火を止めて、最後に半個分のレモン汁を加えればでき上がり。よく洗った瓶にまだ熱々のブルーベリーを入れ、ふたを閉めてすぐに逆立ちさせるのが長持ちさせるコツ。雑菌を殺し、冷めると収縮して酸化を遅らせるのだとか。
フランボワーズやブラックベリー、レッドカラントでは、小さなつぶつぶ種が口に残るので、裏ごし器で種を取り除いた液体からゼリー状のジャムを作ります。こうしてわが家では、各ベリーのジャムを50～80瓶は作るので、ジャムの空き瓶は貴重品。友人知人から瓶を集め、中身を入れてちょっとした御礼やお土産に渡せば好評です。
お菓子作り名人の娘は、フランボワーズソースを作ってチーズケーキにかけたり、ブルーベリーのタルトを焼いてくれたりします。私はもっぱら食べる人……わが家の短い夏は、こうして明けていきます。
写真／©Taz 文／栗田路子
