いつも何気なく使っている歯みがき粉。たいていの商品には当たり前のように“ミント”が使われていますが、そもそも歯みがき粉におけるミントの役割をご存じでしょうか? 今回お話を伺ったライオンでは、歯みがき粉に使用している「天然ミント」にこだわりを持っていて、さまざまな取り組みを行っているそうです。
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歯みがき粉に使われるミントの役割
歯みがき粉に使われるミントの役割とは、歯みがきが終わったあとも天然ミントの爽快な香りが口に残ることで、すっきりさわやかな息に感じられることだと考えられています。
また、天然ミントを活用した良質な香味により、歯みがき粉の使用感をよりよくすることで、歯みがきをマメにしたくなる。つまり、回数をしっかり行うことや歯みがきそのものの質を向上させてくれるため、結果として口臭やむし歯をはじめとした口内環境の改善につなげたいという考えがあるそうです。
世界を救う! 認証ミントって?
天然のミントといっても、多種多様な品種があります。
ライオンでは、創業以来100年以上にわたって歯みがき粉の香りにこだわり続けていて、主にアメリカとインドから天然ミントを輸入しているんです。芳醇な香りと清涼感を生み出す「ペパーミント」や「スペアミント」はアメリカから輸入していて、少し苦みがあり、すっきりとした香りを出してくれる「和種ハッカ」は、最大の生産地とするインドから輸入しています。ミントの種類が違えば香味もまったく異なるため、ブレンドして使われているのだとか。
ちなみに、インド産の「和種ハッカ」は2021年6月から、持続可能な農業経営を支える「SAI※」が認証するミントに切り替えています。「デンタークリアMAX」シリーズをはじめとしたブランドには、この和種ハッカが使用されていて、2022年までに認証ミントの採用を「デンタークリアMAX」シリーズ含み、8つのブランドで拡大予定です。
(※ユニリーバ、ダノン、ネスレが設立した、持続可能な農業サプライチェーンを支えるプラットフォーム)
インドでのミント生産は、すべてが持続可能な生産環境で行われているわけではありません。この認証ミントを生産できるのは、厳しい審査に通った農家に限られていて、現状では持続可能な労働条件や生産条件などが整えられた認証農家は不足しています。
そこで、ライオンではインド産の和種ハッカを持続的に購入することに加えて、これまで必ずしも整っていなかった生産環境について、認証農家の拡大を促すサスティナブルな生産の仕組みづくりをサポートしているそうですよ。
歯みがき粉を使うことで、インドの農家の人たちの生活を支えることもできるのが、インド産の「認証ミント」。こういった取り組みに消費者として関わることは、日本にいながら、世界を救うひとつの力になります。口内のケアだけじゃないのが、歯みがき粉に配合されている天然ミントのパワー。日々何気なく使っているものから、こういった取り組みを知ることで、改めて自分でできる範囲でサスティナブルなことを意識して行いたいものですね。
【取材協力】
株式会社ライオン
取材・文/高田空人衣