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脳科学者が伝授! クリエイティブなひらめきや現状打破に役立つ4つの「脳内トークメソッド」

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ひらめき

私たちの脳は“使った言葉に操られる”という特性があります。口ぐせや独り言、脳内での言葉など、ほかならぬ自分自身との会話が人生を大きく確実に変えるものだということがわかってきました。今回は、より実践的に脳内トークを創造性の向上や現状打破に用いるメソッドについてお伝えしていきます。脳科学者の西 剛志さんの著書『世界一やさしい 自分を変える方法』よりご紹介します。

Contents 目次

創造性の高い人の脳内トーク

創造性

西さんの研究では、創造性が高い人たちは次の4つのステップで、創造的なアイデアを生み出していることがわかってきました。

STEP1:たくさんの知識をとり込む
STEP2:「脳内トーク」をする
STEP3:休憩を入れる
STEP4:出てきた答えをメモする

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

STEP1:たくさんの知識を取り込む

「どんなにすぐれた発明も、まったくのゼロの状態から生まれる発明はひとつもなくて、インターネットと携帯電話を合わせて“スマートフォン”、AIと車をかけ合わせて“自動運転車”となるように、既存のアイデアの組み合わせでできています。知識量が少ない状態でいくら考えても、素晴らしいアイデアはなかなか出てきません。まずは、たくさんの知識をとり込んでいくプロセスが、創造性を高める第一歩になります」(西さん)

STEP2:「脳内トーク」をする

たくさんの情報をインプットするだけでは創造的にはなれません。創造的なアイデアを生み出すときに、いちばん重要なのがこのSTEP2です。

脳内トーク

「畑に種をいくらまいても、水や栄養などを与えなければ芽が出ないように、情報を集めるだけではなく、脳に自分がほしい結果を得るための“問いかけ”の脳内トークをしておくことが大切です」

たとえば、目の前に4つの材料(「リンゴ」、「つまようじ」「ナイフ」、「紙ナプキン」)があったとします。これらで何をしてもよければ、ただリンゴをナイフでむいて食べるかもしれません。しかし、事前に「お城をつくる」と脳内トークしておくと、どうでしょうか。ナイフでリンゴの形を整えて建物のようにしたり、つまようじを刺して格子や窓をつくったり、ナプキンを旗に仕立てるかもしれません。

「脳内トークで“あるべきゴール”を設定しておくと、『注目バイアス』(注目したものが目に入ってくる脳の性質)の作用で、脳はゴールにフォーカスしはじめるのです。そのゴールを実現するために、脳はアイデアをどんどん出してくれるようになります。一度、脳に問いかけておくことで、材料そのものに対する考え方や活用法まで変わってしまいます」

どんなに小さくても、目的をセットしておくだけで、脳は自動的にそのゴールを実現するアイデアを考えやすくなります。

「具体的にはこのような方法です。クライアントから研修などのオファーが来たとき。まず、あらゆる資料を集めて、すべてに目を通したら、自分に向けてこう質問します。“クライアントに最高の結果をもたらすには、どうすればよいだろう?”“どんな人にも理解しやすい構成にするためには、どうすればいいだろう?”自分がほしい結果を得るための脳内トークです。そして、そのままカフェに行ったり、温泉に行ったり、オフィスで海を眺めたり、家族と食事をしたり、子どもと遊んだり、まったく違うことをします。なぜそうするか、その理由を次に述べたいと思います」

STEP3:休憩を入れる

創造性を生むために重要な要素の3つ目が、「脳がリラックスすること」。実際に、米国ハーバード大学の研究でも、過度な緊張は創造的なアイデアが生まれるのを45%も減少させることがわかっています。

休憩

創造性の実験では、2006年にオランダのアムステルダム大学で行われた、パスタの新しい商品名を出してもらうという実験があります。1つ目のグループには、3分間真剣に考えてもらったあとに、商品名をノートに書き出してもらいます。2つ目のグループには、商品名を考えてほしいと伝えたあとに、3分間考えるのではなく、パソコンのマウスを3分間クリックしてもらいました。

結果は、途中で3分間パソコンのマウスをクリックしてもらったグループのほうが、明らかに独創的な商品名が出てきました。

「つまり、アイデア出しとは関係ないことをしたほうが、創造的なアイデアが出てくることがわかりました。なぜ、こんなことが起きるのかというと、それは、脳はロジカルに考えすぎると、思考の幅が狭くなってしまうから。創造性には幅広い視野が必要です。ですので、創造的なアイデアがほしかったら、一度アイデア出しをやめて、コーヒーをゆっくり飲んだり、友人とおしゃべりしたりする時間をとってみることです。創造性は、休んでいるときほど生まれるものなのです」

作業をやめたり、休憩したりしているとき、脳は何もしてないわけではなく、広く活性化しています。これを、専門用語で「デフォルトモード・ネットワーク」と呼びます。また「マインド・ワンダリング」とも呼ばれ、脳が現在や過去よりも「将来」にフォーカスしやすく、客観的に物事を見るため、よいアイデアが出やすい状態になることが知られています。

STEP4:出てきた答えをメモする

「ふと出てきたアイデアは、通常、短期記憶力(ワーキングメモリ)といって、意識的な記憶として脳の前頭前野に保存されます。しかし、記憶できる限界は20~30秒くらいです。寝起きに出たアイデア、歩いているときに出たアイデアを、そのままにしていると、ほとんどが記憶から失われてしまうのです。ですので、よいアイデアが出てきたときは、すぐにメモすることです。メモすることは、自分との対話にもなります。スマートフォンのメモ機能やアプリを使って、その場でサラッとメモをとるだけでも大丈夫です」

ビル・ゲイツは、メモ魔として有名です。本を読んでいるときにも、出てきたアイデアを余白にビッシリ書き出すそうです。ほかにも、レオナルド・ダヴィンチ、エジソン、アインシュタインも、日常的にメモをよくする習慣があったそうです。

「過去の成功・失敗体験」から自由になるテクニック

脳内トーク

私たちはときに過去の体験にとらわれてしまって、判断を誤ってしまうことがあります。失敗体験ばかりでなく、成功体験にしがみついて失敗することもあります。「あのとき、ああできたから、今回もできる」となってしまいます。

「老舗と呼ばれるようなお店が時代的に古くなってしまった商品にこだわり続けてつぶれてしまうとか、恋愛で過去につき合った人に固執してしまって、本当に自分が望んでいるパートナーに巡り会えなくなってしまったり、スポーツで過去の成功したプレーにこだわることで、結果うまくいかないケースなど…過去の体験にとらわれることで、うまくいかないことは多々あります。脳には、“現状維持バイアス”があります。人には、“今の状態であり続けたい”と思う傾向があるということです。これに支配されてしまうと、視野が狭くなり、本当は得られたはずのチャンスを逃すことになるかもしれないのです」

“できる”と言ってしまうと、脳は“できる”ことばかりにフォーカスして、それ以外の情報を見ようとしなくなってしまいます。

「そういうときは『できる』ではなく、『できるだろうか?』という脳内トークを使ってみてください。脳は問いかけられると、左脳半球だけでなく右脳半球まで活性化することがわかっています。その結果、狭かった視野が広がり、過去に成果が得られた方法よりもよい方法が見つかる可能性も広がるのです。また、問いかけ型の脳内トークをすることで、パフォーマンスそのものを高める効果もあります」

ひらめき

米国のイリノイ大学で行われたこんな実験があります。

参加者にアナグラムという10個の言葉のパズルを解かせます。「私は、これをやり通せるだろうか?」と自分に問いかけるグループと、「私は、これをやり通せる」と自分に語りかけるグループに分けました。その結果、肯定形の「脳内トーク」をするよりも、「私は、これをやり通せるだろうか?」と、疑問形にしたグループのほうが、1.5~2倍もアナグラムを解いたという結果がでました。

「“できるだろうか?”と問いかけると、前例よりもよい方法を見つけられるだけでなく、脳のパフォーマンスすら高めることができるのです。視野が広がり、幅広い解決策を得ることができながら、脳を活性化させることで、脳の遂行能力まで高めてくれる。だからこそ、“できるではなく、できるだろうか?” は、素晴らしい脳内トークのひとつなのです」

自分を変えるための方法はたくさんありますが、いちばん身近なものが、この呼吸のように1日に何回もくり返される脳内トークです。ひとつひとつの脳内トークが気持ちを高めてくれて、課題を解決する方向性をもったものであるか、まずは観察してみましょう。いつも使っている言葉を少し変えるだけで、やる気が起きたり、心地よさを感じたりしたら、それは現状が変わっていくサインです。

文/庄司真紀

参考書籍/
『世界一やさしい 自分を変える方法』(アスコム)

『世界一やさしい 自分を変える方法』(アスコム)

著者/西 剛志

西 剛志
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)をはじめとして累計31万部を突破。

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