牛乳好きのギリシャ人が新鮮なミルクを求めた結果…」

豊かな土壌と酪農が盛んゆえに、新鮮で独自のおいしい、さまざまな乳製品をつくっているギリシャ。フェタチーズやギリシャヨーグルトは世界中で好まれていて、日本でも手に入りますね。

ただ、ギリシャの牛乳に関しては、低温殺菌が徹底しているためなのか、保存期間は５～７日間が限度で、牛乳好きのギリシャ人が牛乳を求める頻度が高いのも納得です。
ですが、日本ではおなじみの、牛乳配達システムが浸透していないギリシャでは、牛乳を求めるにはスーパマーケットへ足を運んで買うのが一般的です。
500㎖、１ℓ 、２ℓ、３ℓと容量はさまざまですが、500㎖以下は見かけません。

アテネに住んでいた頃は、昔ながらの小酪農夫がとれたての牛乳をリヤカーに積んで呼びかけをしながら町々を廻りながら、手持ちの鍋に分量を入れて、懐かしい秤で、量り売りしていましたが、廃れてしまいました。

そんな中で、 最近口コミで人気を評している販売網ができました。
〝 ΘΕΣ γάλα 〟(ミルクいらないかな) という商標名の自動販売機、
言うなれば、牛乳のATMです。

テッサリア、マケドニア地方の酪農事業者たちの協同組合から成り立っていて、100%の品質保持や乳牛に与える飼料管理、獣医との共同従事により、安全性、信頼性をより高めた共同事業体です。

そのうえ、販売システムの目のつけどころが真新しい。

青と白を基調にした販売機が設置されていて、ミルクの種類は成分無調整牛乳と低脂肪乳の２種類です。購入者は、手持ちのガラス瓶などを持って来ますが、販売機の横に、プラスチックとガラス瓶購入の自動販売機もあり利用できます。
購入に際して必要なものは、瓶とユーロコインか専用のペイパルカードです。
１ℓが１ユーロで成分無調整、低脂肪共同価格です。好みのほうを選んでその販売機の前に立ちます。コインを投入して、容量を選択します。自動音声案内に従って、蓋を取った状態で瓶を置きます。スタートボタンを押すと、レシートと一緒にフレッシュミルクが出てきます。
24時間いつでもどこでも買えて、簡単でエコロジーですね。

口コミで人気を得てから、
現在では、アテネに32ヶ所、テッサロニキに13ヶ所、ラリッサに17ヶ所設置されています。ところどころ店舗も構えていて、ヨーグルトやチーズのほか、山羊や羊の乳製品も売られており、地方の特産物もあるそうです。

去年、この事業に対し、消費者志向活動表彰と、環境配慮商品の普及に関する優れた事例を称えるエコマークアワード、プロダクト・オブ・ザ・イヤーを見事に獲得したそうです。
環境問題には疎いギリシャですが、国民の関心が少しでも向上するといいですね。

写真・文／辻ハジダキス亜希、ホリ・コミュニケーション