良好な人間関係を築くうえで、「怒る」こともときには必要な要素。ですが、感情的になってしまうと相手を責める形になり、人間関係に亀裂が生じてしまうことも。どうすれば部下や子ども、夫や恋人に、自分の気持ちを上手に伝えられる怒り方ができるのでしょうか。日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介さんに教えていただきました。
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■気持ちが伝わる上手な「怒り方」
「上手に怒るためには、相手に『次からこうしてほしい』と要望を伝えることが大切です。けれど、伝え方や相手との関係によっては、その場の雰囲気を悪くしたり、逆ギレされて自分の身に危険が及ぶことも。
『ここは怒るべき?』と迷ったら、その人に怒ることが自分にとって重要なのか、そこで怒らなかったら、あとで後悔しないかを考えましょう。
『怒らない』と判断したのに、その状況を見続けるのはNG。電車でマナー違反の人を注意せずに見続けるようなケースがそうです。関わらないと決めたら、その人を見るのもやめるということです。
自分の子どもが社会的なルールに反する行動をしたときや、仕事相手との関係性が悪く、このままではお互いにマイナスが生じるときなど、『怒るべき』と判断したら相手に伝わる怒り方を心がけましょう。
いちばん気をつけたいのは、自分の怒りの感情に飲み込まれて、相手を責めてしまうこと。人は責められると『逃げるか、反撃するか』の2択になり、聞く耳を持てなくなるのです。
『強く言えば、より強く相手に伝わる』というのは、残念ながら大きなカン違い。ふだん明るい人が、いつもと違う落ち着いたトーンで話し出すだけで『えっ?』と耳が向くもの。相手が聞く気になるタイミングで、相手の言いぶんを聞きながら怒ることが、その人との信頼関係につながります」(安藤さん)
■怒るときのNGワードに要注意
強い口調で怒られると、誰だって責められた気持ちになって反省よりも先にこわい、逃げたい、腹が立つと感じてしまいますよね。
また、普段怒るときに何気なく使っている言葉が、じつは相手を責める言い方になっているかもしれません。そのNGワードがこちら。
「いつも」「必ず」「絶対」
「この前はちゃんとやったのにそれは見てくれていない」という反発を抱かせ、信頼関係を壊しかねない言葉。目の前の事実だけをシンプルに指摘したほうが、相手に伝わります。
「なんで?」
相手は責められたと感じて動揺し、あなたの話が理解できなくなってしまいます。「どうしたらうまくいくかな」など、相手に選択権をパスする言葉を使うと相手の意識を変えやすくなります。
「前から言おうと思っていたんだけど……」
怒りの度合いを強める表現なので「なんで今さらそんなことを?」「前のことは関係ない」と不信感を抱かれます。怒っている理由を理解してもらうには、そのときのことだけを言って。
また、まわりに怒りっぽい上司や友人がいる人も注意が必要。