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夏といえばの“冷たい麦茶”や“かき氷”が夏太りの原因に? やる気1%から始める やせる養生(2)
前回は、「がんばりすぎるのをやめると、ダイエットはうまくいく」という新常識と、やる気1%で始められるいくつかの“やせる養生”をご紹介しました。『やる気1%から始める やせる養生』(Gakken)を出版された、漢方家・櫻井大典さんと美容家・本島彩帆里さんに、夏のダイエットを成功させる秘訣を伺う第2回目は、夏太りを招く最大の原因と、その解消に役立つ“やせる養生”を教えていただきます。体を内側から整える食養生と外側から整えるボディケアの両方をご紹介するので、「これならできそう!」と感じたものをぜひお試しください。
Contents 目次
熱中症対策も、やりすぎると夏太りを招く
熱中症にならないようにと冷たい麦茶をたくさん飲んだり、お昼はそうめんや冷やし中華、おやつもアイスクリームやかき氷などの冷たいものを食べていたら、いつの間にか体重が増えて夏太り……。太った原因は、やっぱり甘いアイスクリームとかき氷でしょうか?
「アイスクリームやかき氷だけでなく、麦茶やそうめん、冷やし中華も太った要因かもしれません。じつは冷たいもののとりすぎで太ることがあるのです。僕の専門である中医学(中国の伝統医学で、東洋医学の一種)に“肥人(ひじん)に脾虚(ひきょ)多し”という言葉があります。簡単な言葉にするなら、“太っている人は胃腸が弱っている人が多い”ということ。何か太るようなものを食べ続けたから胃腸が弱った、何らかの原因で胃腸が弱ったから太ったなど、原因や順番は人それぞれ違います。でも、胃腸の状態と肥満は大きく関係するのです。
そのメカニズムは、“胃腸が弱る→消化吸収がうまくできなくなる→体を構成する気血水が十分に作れなくなる→気血水の巡りが悪くなる→体内に不要物がたまり、またそれを排出できなくなる→太る”というものです。胃腸は冷やされると弱るので、冷たい飲みものや食べものをたくさんとっていると、体は太りやすくなるのです。そんな人は、全身が重だるい、下痢や軟便が多い、手足の先が冷える、肩や首がこるなどの不調を抱えている場合が多いのですが、慢性的にそうした状態が続いていて、本人は“自分が不調になっている”と自覚していないこともあります。このような人は中医学的な体質分類では“痰湿(たんしつ)”と“瘀血(おけつ)”に該当します。痰湿タイプは、気血水のうち水のバランスが崩れ、うまく排出できなくなって、体内に余分な水をため込んだ状態。瘀血タイプは、血の質が悪くなり、ドロドロの汚れた血が体内に滞っている状態です。まずはこの体質の偏りを改善しないと、体内の不要物をうまく排出できないので、ダイエットはうまくいきません」(櫻井さん)
飲食物で一番に気にしてほしいのは “温度”
冷たいもので夏を乗り切ろう!くらいに思っていましたが、冷たいものの食べすぎは胃腸を弱らせて、夏太りだけでなく、夏バテをも招いてしまいそうですね。
「やせたい人はもちろん、夏バテしたくない人も、ぜひ胃腸をいたわる食べ方を心がけてください。熱中症予防には、冷たい麦茶を一度にがぶ飲みするのではなく、のどが渇いたなというタイミングで少量をこまめに飲む。エアコンの効いた室内にいるのであれば、常温か、温めて飲むほうが胃腸にはやさしいです。かき氷も食べちゃダメとは言いませんが、冷たいものを食べるときには、一緒に温かい飲みものを飲みましょう。また、冷たいものというのは、キンキンに冷えた飲みものや、かき氷、アイスクリームだけではありません。体温よりも冷たいもの、例えば生野菜サラダや冷ややっこ、ところてん、ヨーグルトやゼリーなども胃腸を冷やします。ヘルシーな印象の食材なので、ダイエットのためにと一度にたくさん食べる人がいますが、そんなことをしていると胃腸が弱るので逆効果。適量をあまり冷たくしすぎない状態で食べるのが、“やせる養生”の正解です。食べもの、食べ方を変えるだけで、体質の偏りは改善されていきますよ」(櫻井さん)
「それでも“冷たくて甘いものが食べたい!”というときもあると思います。アイスクリームがどうしても食べたくなったら、私はよく冷凍フルーツをチョイスします。冷凍マンゴーをそのまま食べたり、冷凍ブルーベリーをヨーグルトに入れて食べると満足度も高いです。もちろんアイスを食べることもありますが、植物油脂などが添加されている“ラクトアイス”ではなく、“アイスクリーム”と表示のあるものを選ぶようにしています。どうしても食べたいときは、より質のいいものを選択すると、体への悪影響も少なくできますよ」(本島さん)
下半身のケアと入浴で、気持ちよ~く気血水の巡りを促そう
夏太りを解消する食養生のポイントは、“冷たいものを食べすぎない”ことなのですね。では、ボディケアはどんなことがおすすめなのでしょうか?
「気血水の水が滞っている痰湿タイプは、全身の水はけをよくする、外に流し出すことがポイントなので、下半身を中心にケアしましょう。むくみは全身の問題ですが、水は物理的に下にたまりやすいので、タオルを利用したストレッチで下半身の水分の巡りを促すのがおすすめです。無理に引っ張るのではなく、心地いいと感じるところまで伸ばすのがポイントです。血がドロドロになっている瘀血タイプは、全身の血の巡りが悪く冷えているので、まずは体を温めて血を巡らせましょう。夏場でもシャワーだけで済ませるのではなく、しっかり湯船につかることが、もっとも手軽な“やせる養生”です。湯船につかると体に水圧がかかるので、それによっても血の巡りが促進できます。お気に入りの香りの入浴剤を入れるようにすると、バスタイムがもっと楽しくリラックスできる時間になりますよ。ダイエットの大敵である日々のストレスも、毎日のお風呂で洗い流して、自分の“心地いい”を大事にしながらキレイを磨いていきましょう」(本島さん)
<下半身全体の巡りをアップさせる タオルストレッチ>
STEP1 あお向けになってタオルの両端をもち、片方のひざを曲げてタオルを足裏にひっかける。
STEP2 足裏を天井に向けて垂直に伸ばし、ゆっくりとタオルを引っ張りながら脚の裏側全体を伸ばす。心地よく伸びているなと感じる位置で3~5回深呼吸しながらキープ。反対の脚も同様に。
ついつい冷たい飲食物を多くとってしまう夏だからこそ、意識して胃腸をいたわりたいですね。書籍では、痰湿タイプ、瘀血タイプをはじめ、体質と太ってしまう原因別に計4つのタイプに分類し、その解消法をご紹介しています。ほかにもたくさんの“やせる養生”が掲載されているので、気になる方はぜひ手にとってみてください。
次回は、今回とは別のタイプの方が陥りやすい夏太りの原因と対処法をお伝えします。
写真/黒澤義教 イラスト/山中玲奈 文/出雲 安見子
『やる気1%から始める やせる養生』(Gakken)
www.amazon.co.jp/dp/4058021101
【著者プロフィール】
櫻井大典(さくらい・だいすけ)
漢方家。漢方コンサルタント。国際中医専門員。日本中医薬研究会会員。カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後はイスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国の首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格を取得。漢方薬局で働くようになり、学んだ中医学の食養生を実践してみたところ、1年で10 ㎏やせて、その後リバウンドもしていない。これまでに4万件以上の健康相談を受け、その人の体質に合わせた対処法をアドバイスしている。Twitter(X)で発信されるやさしいメッセージと、簡単で実践しやすい養生法も人気で、フォロワー数は17万人を超える。Twitter(X):@PandaKanpo
本島彩帆里(もとじま・さおり)
ダイエット・セルフケア美容家。心も体も不安定な万年ダイエッターから、カウンセリングや妊娠出産をきっかけに、心身とも健康的に1年3か月で20㎏やせる。自身のダイエットや、痩身サロンでセラピストとしてさまざまな女性の悩みに寄り添いサポートをしてきた経験を活かし、ダイエットや美容情報、ライフスタイルを発信。自分とのパートナーシップを軸にした、無理のない心と体のセルフケアが幅広い層に支持されている。著書は累計43万部超で、Instagramのフォロワー数は23万人を超える。自社でセルフケアブランドeume(イウミー)も手がけ、多様なプロダクトを通してできたことを増やす体験やメッセージを届けている。Instagram:@saoooori89