目的に合わせて“色”で選ぶ

良質なたんぱく質が豊富で、肉に比べて低脂肪の魚。低糖質で、糖質制限をしている人にもうれしい優秀食材です。身の色によって赤身魚と白身魚に分けられ、赤身魚のうち、背に青みのあるものが青魚です。

「白身魚は、赤身魚や青魚よりも低カロリーで、ダイエットの強い味方です。でも、赤身魚や青魚には、白身魚にはない栄養素や健康成分も多いので、カロリーだけで判断しないで、それぞれの栄養の特徴を知ることが大事です」（大越先生）

まずは、白身魚をチェック！
たら、たい、すずき、かれい、ひらめなどがその代表格です。脂質が少ない分、味も淡泊。そこで、ハーブやスパイス、柑橘類、酢などと組み合わせ、風味や酸味をプラスすることで、ヘルシーさはそのままに、味のものたりなさを補うことができます。唐辛子やカレー粉、こしょうなどの辛味スパイスを使えば代謝がアップし、脂肪燃焼効果も得られます。

身は赤いですが、じつはさけも白身魚の一種。さけは、赤い色素「アスタキサンチン」を含む、オキアミなどの甲殻類をえさにしているので身が赤くなります。この「アスタキサンチン」には超強力な抗酸化作用があり、がんや生活習慣病の予防ほか、シミ、シワが改善されるなど、美肌やアンチエイジング効果も期待できると言われています。

次に、まぐろ、かつおなどの赤身魚をクローズアップ。
赤身魚は常に泳ぎ続けている回遊魚なので、筋肉に酸素をたくさん運んで効率よく使う必要があり、筋肉に色素たんぱく質の「ミオグロビン」が増えて酸素を蓄えます。この色素が赤いので、身が赤いというわけです。

「『ミオグロビン』には鉄分が多く含まれ、また、血合いには造血作用のあるビタミンＢ12も豊富なので、ダイエット中などの貧血予防におすすめです」（大越先生）

まぐろやかつおは腹に脂肪がたっぷり。カロリーが気になるなら、まぐろはトロより赤身を選んで。赤身が100g 125kcalなのに対し、トロ（脂身）は100g 344kcalと、３倍近く高カロリーです（くろまぐろの場合）。
かつおも、背を選ぶのが賢明。初夏にとれる初がつおより、秋に出回る戻りがつおの方が、脂がたっぷりのっています。ただ、この脂には血液をサラサラにするオメガ３脂肪酸、ＤＨＡ（ドコサヘキサエン酸）やＥＰＡ（エイコサペンタエン酸）が豊富なので、食べすぎには気をつけながら、積極的に摂取したいところ。

あじ、さんま、さば、いわしなどの青魚は、脂質が多いので高カロリーですが、こちらにもＤＨＡやＥＰＡが豊富に含まれています。血栓ができるのを防ぎ、悪玉コレステロールや血中脂肪の減少など、メタボ予防に◎。脳の働きを高め、血流をよくすることで冷えの改善にも役立ちます。

ＤＨＡやＥＰＡは酸化しやすいので、新鮮な青魚を生で食べるのがいちばん。加熱するときは、いい脂を逃さないよう、器やホイルごと蒸したり、焼いたり、または煮汁ごと食べられる煮ものや、汁ものなどにするのがコツです。野菜でかさ増ししたり、主食の量をセーブすれば、カロリー面も安心です。

「白身魚は低カロリー、赤身魚は鉄分が豊富、青魚は体にいいオメガ３脂肪酸がたっぷりと、どの魚もそれぞれメリットがあります。ダイエットや気になる不調の改善など、目的に合わせて種類を選び、量をコントロールして効果的に食べるのが魚との上手なつきあい方です」（大越先生）

取材・文／鹿野育子