根っからのコンピュータ好きで理系の大学院卒。前の職場では「一番の技術力」でした

Zoom画面の向こう側に化粧気のない眼鏡姿の女性が座っている。都内のITベンチャーでシステムエンジニアとして働く新井恵子さん（仮名、31歳）だ。「寒いから」という理由で家の中でもダウンコートを着ている。机周りや部屋には余計なものはない。独身のアラサー女性にしては華やかさに欠ける印象がある。

ただし、新井さんの目は知的に輝いているのが画面越しにもわかる。何か質問すると、的確にわかりやすく丁寧に答えてくれるのだ。好奇心が強く、仕事もできる人なのだろう。聞けば、昔からコンピュータが好きで、理系の大学院を出てからはシステムエンジニアの道を選び、前職では「技術面では自分が一番」と感じるほど突き抜けた。

今までは周囲に「すごい！」と思える男性がいなかったので恋愛に興味がなかったと振り返る新井さん。昨年からは生まれて初めての片想いをしている。できる独身上司を尊敬しているのだ。
その恋を成就させるために１日１食だけに食事量を減らして10キロダイエットに成功。しかし、彼にアプローチする前に職場がフルリモートワークに突入してしまった。そんな新井さんの暮らし方と心境を聞いた。

＊＊＊新井恵子さん（仮名、31歳）の話＊＊＊

ITベンチャー勤務。年収620万円。千葉県郊外の3LDKを買いました

生まれは関西です。自然が豊かなところにある団地で育ったので、東京の人混みには慣れませんでした。コロナでリモートワークが中心になったことをきっかけに、千葉県の郊外にある３LDKの団地を買いました。築25年です。駅までは徒歩12分ぐらいで、会社へはドアツードアで１時間半で行けます。
35年ローンを組みましたが、贅沢をしなければもっと早めに返せます。気が向いたら売り払って別のマンションに住み替えるつもりです。お金の勉強を兼ねられるかな、と思っています。今、年収は620万円ぐらいです。

私は生きる力が強いので、今まで自分ひとりでやりたいようにやってきました。私の家族は仲はいいけれどひとりひとりが自由で、親の教えは「人様に迷惑をかけるな」「自分の食いぶちは自分で稼げ」です。結婚しろとか孫の顔を見せろとか言われたことはありません。

４歳上の兄は結婚していて２歳の息子がいます。コロナで年末年始も帰省できなかった私は、その甥っ子に数えるほどしか会えていません。兄から「列車の図鑑が欲しいらしい」と聞いてアマゾンで買って送ったりしています。

賢くて、気遣いができて、未婚の男性。３拍子揃った上司への恋心

以前は日系の製造業の情報システム子会社で５年ほど働いていました。情シスはちょっと低く見られているのが日本企業の現状で、IT化を遅らせている原因のひとつだと言われています。でも、実際に情シスにいる人たちも技術力が高いとは言えず、前の職場では私が一番になってしまいました。技術よりも社内政治的なものが重視されたりしてつまらなくなったのが転職の理由です。

転職は大成功だったと思います。日本においては、エンジニアの優秀層は東京にあるITベンチャーに集中するようです。興味関心が近くて、話のレベルが合う人たちに囲まれて楽しく働けています。

今の職場で初めて気になる人ができました。私より10歳ほど年上で、スポーツや車などの趣味に打ち込んでいるので独身のままの人です。バリバリに仕事ができて賢くて、気遣いなどのコミュニケーション能力も高いんです。一般的にもモテるタイプだと思いますが、私もそういうタイプを好きだとは気づいていませんでした。

でも、私はもともと慎重な気性です。相手は上長にあたる人なので、下手に好意を伝えてトラブルになることは避けたいと思っています。距離感を見定めながらアプローチしようと思っていたら、全社員がリモートワークに突入してしまいました。

コロナが終息してもリモートワークは変えない会社方針。もう元には戻れない

勤務先のITベンチャーは急成長中で、今までは都心のオフィスをどんどん拡張していました。でも、コロナが終息してもリモートワーク中心の勤務は変えない方針で、人員は増えてもオフィスは広げていません。今後はむしろ縮小していくと思います。私はひとりでも寂しいと思わないので在宅勤務は苦になりません。

休日は技術の勉強をしているか、大きな図書館で本を読んでいることが多いですね。仕事に関係する知識があればお得だし、関係なくても新しいことを知るのは楽しいです。私は子どもの頃から本が好きで、図書館で宇宙やコンピュータ関係の本を片っ端から読んでいました。そんな子に付き合ってくれる女友だちはいないので、ひとりで勉強するのが当たり前になったのだと思います。
コロナ前までは美術館の特別展にもよく行っていました。絵画そのものよりも現物を見ながら背景にある歴史を考察するのが好きだからです。

友だちといえるのは、地元にいる高校時代からの数人です。たまにLINEでどうでもいいメッセージを送り合ったりしています。結婚している人もいて、子連れで東京に来てくれたときは一緒にディズニーランドで遊びました。男友だちはいません。

男性と一緒に自分とは違う視点を見つけたい。数年前からモヤモヤしています

平日の朝は６時起きでオンライン英会話を受けています。勤務先には外国人のエンジニアも多く、彼らとのコミュニケーションは基本的に英語です。よりよい仕事をするためにも英語学習は欠かせません。
勤務時間は9時30分～18時30分です。システムトラブルなどの際は夜中に起きたりもしますが、幸いなことにほとんど発生していません。もともと前職よりは残業などは少なかったのですが、通勤時間がなくなったのでワークライフバランスはさらによくなりました。
ダイエット中なので１日１食。ファミレスのランチです。勉強と仕事に集中してきた人生なので家事はほとんどできません…。

ひとりは得意なほうですが、美術展などに行くと「ほかの人と一緒だったら自分とは違う視点も見つかるのにな」と思うようになりました。ひとりではたどり着けない境地もあると思うんです。数年前からちょっとモヤモヤしています。

今後、技術力を高めるためにITスクールにも通う予定です。それが終わったら一度は婚活をしてみようかと思っています。ダメならダメで構いません。もともとひとりで生きていく予定だったからです。

＊＊＊大宮より新井さんへ＊＊＊

婚活は、相手に求める条件は緩やかにしつつ、「求められやすい自分」になるのが王道です

新井さんは話せば話すほど魅力が見えてくる人だな、と感じました。その源泉には、知性と自立心、そして優しさがあるのだと思います。自他を客観的に見つめながらも前向きに努力をして、自分の力で生きている新井さん。かといって他人に厳しいわけでもありません。新井さんと一緒にいて貶められたり裏切られたりすることは決してないだろうな、と直感しました。

婚活に関して。僕はちょっとだけ詳しいのでアドバイスをさせてください。誤解を恐れずに言いますが、基本的には需給が一致したところに結婚が生まれます。転職と同じですね。新井さんは前職で我慢をしながら「技術力」を高めたので現在の職場に求められたのだと思います。
婚活でも転職活動でも、相手（結婚相手や就職先）に求める条件はできるだけ幅広く緩やかにして、他者からは求められやすい自分になるのが王道です。新井さんが好きになった上司は一般的にもモテるタイプだと分析されていますよね。その通りだと思います。年収はおそらく1000万円を超えているでしょう。婚活をしたら、新井さんと同じくアラサーで、一般的に美人といわれるような女性やふわっとしたいかにもモテそうな雰囲気の女性などからもアプローチされ、ライバルが多そうです。

「ほかの人と一緒に自分とは違う視点も見つけたい」という願う新井さんの相手は、知的でコミュニケーション好きであることは必須です。ここは新井さんにとって肝となる部分なので条件を緩める必要はありません。でも、IT業界以外にも目を向けてはいかがでしょうか。最先端ではない業界でも、誇りを持って働いていて、知的好奇心がある男性はいます。

選ばれやすいという点では、なんだかんだで年齢は重要です。特に女性は、婚活市場においては30代前半が最後のモテ期と言っていいでしょう。40代50代でも結婚はできますが、多くの男性からのニーズを集めやすいのがアラサーです。この大切な時期を逃さず、できれば早めにスタートをきってほしいと思います。

もうひとつのポイントは見た目の改善です。少し露骨な表現をすると、相手から「近くにいたい。さわりたい」と思われるようになること。結婚とは、性的なパートナーと結ばれることでもあるので当然ですね。服装だけでなく、髪や肌の手入れをするだけで他人に与える印象が異なります。これは専門家に相談するのが近道です。具体的には、結婚相談所のカウンセラーや婚活系のパーソナルトレーナーがいいでしょう。
今の新井さんがどうというわけではなく、思いを寄せる上司のような男性に選ばれやすくなるためのアドバイスだと思ってください。今回ご縁ができた新井さんならば僕が信頼している人を紹介しますよ。ITスクールがひと段落したらぜひご連絡ください。