「ダイエットしよう！」と思ったとき、あなたが考える目標とは？

前回、やる気を出すには「ギャップモチベーション」が効果的と紹介しましたが、ここで改めて説明します。ギャップモチベーションとは、脳にギャップを感じさせて行動をおこす、最も効率的なやる気の出し方です。脳には、理想と現実の間にギャップを感じると、そのギャップを埋めようとする特性があります。この脳の特性を利用することで「やる気を出そう！」と必死にならなくても、自動的にモチベーションが上がり、自然と行動に移すことができるため、目標を達成しやすくなるのです。今回は、このギャップモチベーションを使って、ダイエットの目標設定をしていきます。

「ダイエットしよう！」と思ったとき、どんな目標を立てますか？

「夏までに５kgやせる！」

このように考える人も多いかもしれません。実は、これはNG例。このままでは、目標達成が難しいそう……。では、どこがよくないのか、ギャップモチベーションを元に解説していきます。

「曖昧さ」をなくすのが目標達成への第一歩

やる気の最大の敵は「曖昧さ」です。脳は、よくわからない曖昧なものに出会うと、思考が停止する特徴があります。思考が停止すると、どんな行動をしたらいいのか、考えられなくなるため、目標達成が難しくなるのです。「夏までに５kgやせる！」という目標で曖昧なのは「夏まで」という期間。夏の解釈には幅があり、「８月の終わりまでが夏」「涼しくなるまでは夏」など曖昧になり、ダイエットをしなくてもいい言い訳を作ることになってしまいます。これを「７月１日の正午まで」と期間を明確に設定すると、ダイエットをイメージしやすくなりませんか？　また、期間を明確にすると「７月１日の正午＝ダイエットに成功した理想の自分」と「今日＝現実の自分」との間に、脳がギャップを感じて、ギャップモチベーションにつながります。

ワンポイント・アドバイス

目標は、手書きするのが効果的。スマホのメモなどに入力をするより、手を使って文字を書くほうが脳への刺激が強く、脳がギャップを感じやすくなります。

「感情をともなった明確な理由」がやる気をおこす！

ダイエットを成功させるには「感情をともなった明確な理由」も重要なポイントです。感情は、五感によって引き出され、中でも、視覚、聴覚、体感を働かせると感情に響きやすくなります。どうすればいいかというと、「５kgやせる！」目標を達成した自分の姿を鏡越しに見て、どう思うか、視覚からイメージ。次に、やせた自分に、まわりの人がどんな声をかけてくれるか、それに対して自分はどんなことを話すか、聴覚からイメージ。さらに、やせたことで「ボディラインがすっきりした！」「気持ちが前向きになった!!」など、自分がどう感じるかを体感からイメージしてみてください。すると、未来の自分の姿を、感情を込めてリアルに想像することができます。

また、やせたいと思う明確な理由を考える上で役立つのが、目標を達成した後の５つ先までを考えることです。例をあげてみます。

①５kgやせたら、どんないいことがある？→ ウエストにくびれができる！

②ウエストにくびれができたら、どんないいことがある？→スタイルよく洋服を着こなせる！

③スタイルよく洋服を着こなせるようになったら、どんないいことがある？→ 自分に自信が持てる！

④自分に自信を持てたら、どんないいことがある？→ どんなことにも積極的になれる！

⑤どんなことにも積極的になれたら、どんないいことがある？→ 子どもの頃から憧れだったファッション関係の仕事にチャレンジする！

こんなふうに自分を掘り下げることができ、脳が理想と現実のギャップを感じてモチベーションがアップします。

このように考えていくと、最初に例をあげた「夏までに５kgやせる！」という目標は「７月１日正午までに５kgやせて、憧れのファッション関係の仕事にチャレンジする！」と設定し直すことができます。

目標を設定するには、自分と向き合い、自分自身を掘り下げていくことが、とても大切。ぜひ、この機会に自分を見つめ直してみてください。目標設定が明確になった瞬間、脳がギャップを感じてギャップモチベーションを発揮。目標に向かって行動することができますよ。

次回は、ダイエット中の悩みをギャップモチベーションを使って解決する方法をご紹介します！

取材・文／野口美奈子

『神モチベーション 「やる気」しだいで人生は思い通り』（SBクリエイティブ刊）

自然とモチベーションが上がり、さらに、そのモチベーションが持続する「ギャップモチベーション」について、脳科学や神経科学、認知行動科学に裏付けながら紹介。仕事や人生の成功を願う、誰もができるように、わかりやすく解説。やる気の壁を突破し、無理なく目標を達成することができるモチベーションのコツを知ることができます。