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動物性vs植物性どちらがベター? たんぱく質をとるときに重視したい個人差とバランス

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たんぱく質

健康や美容のための基本的な栄養素であり、ダイエットの際もきちんと摂取しなければならない栄養素のひとつとして認知されるようになってきた「たんぱく質」。かける、混ぜるといった形で食事にたんぱく質をプラスできる商品や、高たんぱくなヨーグルト、たんぱく質がONされたカップ麺といったハイスペックな食品の広がりを、FYTTEヘルスケアトレンドでも「ONたんぱく」として注目しています。一方で、現代人のたんぱく質不足を心配する声や、たんぱく質をどのくらいとったらよいのかわからないといった声も…。そこで、美容・アンチエイジング専門の医師であり、栄養学にくわしく、またトライアスロンの選手としても活躍する黒田愛美先生に、たんぱく質の働きや現代人がどのようにたんぱく質と向き合っていったらよいかをうかがいました。

監修 : 黒田 愛美 (美容・アンチエイジング医師)

美容、アンチエイジング医師。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic医師。東京⼥⼦医科⼤学内分泌乳腺外科、⿇酔科を経て、⼤⼿美容クリニックで院⻑を務めた経歴を持つ。現在は『中からと外からの美容と健康』を信念に、注⼊やスレッドリフト、レーザーなどを⽤いた外⾒へのアプローチと、予防医学や栄養学に基づく体の中へのアプローチの両⾯で「患者様の美と健康」を追求している。また、トライアスロン⽇本代表に選ばれたこともあり、著書には『アスリート医師が教える 最強のアンチエイジング⾷事術51 運動術26』(⽂藝春秋)がある。アラガン社公認ボトックス・ヒアルロン酸注⼊指導医。

Contents 目次

たんぱく質は動物性でも植物性でもOK。意外な落とし穴も

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たんぱく質には、動物性と植物性があります。効率的に栄養価を摂取するには、どちらを積極的にとったほうがいいのでしょうか。

「結論から言うと、消化酵素の働き、胃腸の強さ、腸の長さといった消化吸収の能力が関わるため、どちらを食べたほうがいいかは個人差があります」と黒田先生。

「もともと日本人は消化酵素の分泌が少なく、肉類の消化には時間がかかり、体に負担になることがあります。焼き肉やステーキを食べたあとに、下痢をしたり、ガスがたまったりするなど胃腸にトラブルが起こるようなら、植物性たんぱく質のほうが体に合っているのかもしれません」

植物性たんぱく質だけでは力が出ないような気がするかもしれませんが、「動物性食品を一切口にしないビーガン食のアスリートも多く、植物性たんぱく質の中心の食生活でもパワー不足なることはない」とか。「人間の体のおもしろいところで、その食事に合わせた体へと進化していく」のだそうです。

逆に、植物性たんぱく質が中心の食生活ではなんとなく元気が出ないと感じるようなら、「動物性たんぱく質もとったほうがいいかもしれません」と黒田先生は話します。

動物性にしても植物性にしても、万が一体に合わない食材だと消化吸収も悪く、せっかくの栄養素も十分に取り入れることができません。自分の体質に合ったたんぱく質をとりたいですね。

ちなみに、ステーキや焼き肉を食べたあとに下痢をする人は、消化酵素の働きが弱いだけではなく、腸内環境が悪くなっていることも考えられそうです。多くの人が何のトラブルも感じずに食べられている食材に対して何らかの不調を感じた場合は、自分の体に食材が合っているか、腸内環境が悪化していないかを考えながら食生活を見直すことも大切といえます。

牛乳や大豆のとりすぎはNG!? たんぱく質をとるときに注意すべきこと

女性の医師

たんぱく質は積極的にとりたい栄養素ですが、食材によっては体質に合わないことも。良質なたんぱく質でも、体に異変を感じたら長期にわたって同じものを食べ続けるのはNGです。
代表的な食材と症状の関連をみていきましょう。

■日本人の8割が牛乳でお腹がゴロゴロ「乳糖不耐症」
乳糖不耐症は、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)の分解酵素(ラクターゼ)の働きが弱いことで、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢を起こしたりするものです。日本人の8割が乳糖不耐症とみられています。同じ牛乳が原料でも発酵食品のヨーグルトやチーズなら、乳糖の影響はすこし少なくなると言われています。

■同じものを食べ続けると起こる!?「遅延型アレルギー」
遅延型アレルギーは、ある特定の食べものが腸内で正常に分解されず、炎症を起こすことが原因で起きます。特定の食品を摂取して6~24時間が経過してから、疲労感、倦怠感、消化管の不快感、関節の炎症、副鼻腔炎、湿疹、頭痛などの症状が表れると、遅延型アレルギーの可能性が高いと言えます。毎日食べているもの、身近な食材が原因物質となるケースが多くあります。同じ食材を食べるのに適正な頻度は4日に1度くらい。メインとして食べるたんぱく源を、肉→魚→卵→大豆製品というように日替わりでローテーションさせるのもひとつの方法です。

■大豆製品のとりすぎで月経不順に?
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似たような働きをするため、大豆製品をとり過ぎるとホルモンバランスに影響が出て、月経周期が乱れたり、肌荒れが起きたりすることがあります。体にいいからと言って、同じものを毎日たくさんの量を食べ続けたうえに、サプリメントでも補うなど、長期にわたって大量に摂取すると、甲状腺の機能が低下するリスクもあります。

「たんぱく質は体に不可欠だからこそ、不足していることを自覚して、しっかりとりたい栄養素ではありますが、食事はバランスが大切ですし、ひとりひとり体質も異なります。良質なたんぱく質と言われるものでも、食べたり飲んだりしたあと、体調に異変を感じるようなら、控えるようにしましょう。そして食事をとる際は、大前提として、食生活の基本とも言える『まごわやさしい』(豆・豆製品、ゴマ、わかめ・海藻類、野菜、しいたけ・きのこ類、いも類)をふだんから意識してほしいと思います。」

日々の生活の中で、たんぱく質とじょうずにつき合って、健康的においしくいただいていきたいですね。

 

取材・文/海老根祐子

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