薬膳的に見ると、タピオカは女性に○！

タピオカはほとんど水分と炭水化物であまり栄養がないといわれていますが、北山さんによると薬膳的には女性の健康にプラスの効果が期待できるのだとか。

「タピオカは、貧血や食欲増進に効果があるといわれています。薬膳では『健脾（ケンピ）』『補気（ホキ）』『補血（ホケツ）』の作用のある食品とされていて、簡単にいうと、消化器系をしっかり機能させ、食材によって生きるための力を補い、全身に栄養素を運んでいる血の力を補う効果があるということです」

消化器系は湿度に弱いそうで、「湿度の高い日本で消化器の弱い人が多いのもわかる気がします」といいます。

「消化器系が弱ると、食欲がなくなったり、疲れたり、やる気がわかなくなったりするなどさまざまな影響が出ます。夏場ちょっと体力が落ちたときなんかにタピオカをとってみるのもいいと思いますよ」

「また、鉄分はカルシウムと一緒にとるとすごく吸収がいいのですが、タピオカには鉄分もカルシウムも含まれています。そのため、貧血などの改善が期待できる食材とされています。血のめぐりがよくなると、肌がきれいになるなど美容面にもいい効果がありますね」

さらに北山さんは「タピオカドリンクを飲むときドリンクの部分のチョイスも工夫すると、タピオカとの相乗効果が得られますよ」と教えてくれました。

「例えば、『ちょっとむくんでいる気がする』なんていうときは、ウーロン茶を選ぶと水分代謝が高まります。『ちょっとイライラするな』『疲れたな』なんていうときは、ジャスミン茶を選ぶとリラックス効果が得られます。難しく考えなくていいのですが、お茶の働きをちょっと知っておくと美容・健康効果をアップすることができますよね」

タピオカは以前から大活躍の食材だった

タピオカというと、タピオカドリンクに入っているタピオカパールや、中華のデザートのタピオカ入りココナッツミルクくらいしか思い浮かばないという人も多いと思いますが、じつはタピオカはさまざまな食品に使われています。

「タピオカブームになる前からタピオカ粉としてよく使われていました。片栗粉の役割も小麦粉の役割も果たすので、いろいろなところで活用できるんです。いちばん注目を集めたのは冷凍うどん。タピオカ粉を入れたことで、もっちり、つるんとした食感が出て、おいしいと評判になりました。揚げものもタピオカ粉を加えると、かりっと揚がって軽い食感になって、そのかりっと感を長時間保つことができます。ポンデケージョはタピオカ粉で作るパンとして知られていますが、あのもっちりした弾力もタピオカ粉によるものなんですよ」

もちもちした食感が人気のミスタードーナツの「ポン・デ・リング」もタピオカ粉が使われているのだとか。北山さん自身も料理にタピオカ粉を使うことがあるのだそう。

「かりっとした揚げものを作りたいときにタピオカ粉を加えたりしますね。ほかにも、ごま豆腐を作るとき、冷蔵庫で冷やしたいというときはタピオカ粉を少し加えることもあります。ごま豆腐はくず粉で作るのですが、くず粉は冷蔵庫で冷やすとガリガリした食感になりがちなんです。タピオカ粉を加えると、なめらかなまま固めることができるんですよ」

くず粉をなめらかに固めるのに役立つというタピオカ粉ですが、ゆでたタピオカパールは冷蔵庫に入れると固くなってしまうので要注意です。

「冷蔵庫で保存すると芯が固くなった感じになります。そういう場合は、タピオカパールに水分（ドリンクなど）を少し加えてレンジで少し加熱すれば、もちもち感を復活させることができます。でも、作りたてより風味が落ちるので、あまり時間をおかずに食べたほうがいいですね」

コンビニなどで売っている既製のタピオカドリンクは、タピオカパールが固くならないようにこんにゃくなどが加えられていることもあるのだそう。タピオカパールのあのもちもち感は“作りたてならでは”なんですね。

取材・文／小高希久恵