私たちの体をコントロールする大切なシステムには「ホルモン」と「自律神経」があります。今回は「睡眠」と「自律神経」について、そして、眠るモードを作る「自律訓練法」のやり方を睡眠コンサルタントの友野なおさんに教えてもらいました。
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自律神経を整える「自律訓練法」で眠るモードを作ろう!
私たちの体の機能を支配する自律神経は、アクセル役を担い昼間の神経とも呼ばれる「交感神経」と、ブレーキ役を担い夜の神経とも呼ばれる「副交感神経」の対照的な働きをする2つの神経系統から成り立っています。この2つの神経がシーソーのようにバランスをとり合って12時間交代で逆方向に働くことで体内の状態の維持、調節とバランスを保っているのです。
しかし、ストレスがかかると「交感神経」と「副交感神経」のバランスが乱れてしまいます。すると、夜になっても興奮モードのままで休息スイッチが押されないので「眠れない」、あるいは「だるい」「頭痛やめまいがする」「肩こりがする」「イライラする」などといったようなさまざまな不定愁訴(プチ不調)の原因になってしまいます。
リラックスをしてストレスを緩和させ自律神経を整える方法としておすすめの「自律訓練法」は、心身弛緩法を中心とする心療療法のひとつですが、現在は睡眠改善を含めた健康増進法としても幅広く使われています。
「自律訓練法」とは、自己催眠をかけて全身の緊張をときほぐすというもので、頭の中で一定の言葉をくり返すというシンプルな作業です。反復した言葉の内容に受動的注意集中を行い、段階的に心身の興奮沈静化をはかるメソッドです。リラックスが目的なので、静かで安心でき、照明が明るすぎない環境で行うのが望ましいといえます。
<自律訓練法のやり方>
1. 背もたれのあるイスに深めに座り、両足裏を床にしっかりとつけて背すじを伸ばす。両手は軽く太ももの上に置き、肩の力は抜いて目はソフトに閉じる。
2. 「気持ちが落ち着いている」と頭の中で数回くり返したら、「右腕(きき腕が左なら左腕)が重たい」と頭の中で数回くり返しながら意識を右腕に集中する。続いて逆の腕、そして両足も同様に行う。
3. 今度は、「右腕(きき腕が左なら左腕)が温かい」と頭の中で数回くり返しながら意識を右腕に集中する。続いて逆の腕、そして両足同様に行う。
4. 「心臓が静かに規則正しく打っている」、「ラクに呼吸をしている」、「お腹が温かい」、「ひたいが心地よく涼しい」と頭の中で唱える。
5. 最後は暗示を解除するために「消去動作」を行う。目を閉じたまま両手をグーパーし、ひじやひざはゆっくり曲げ伸ばし、首をゆっくりまわして大きく伸びをしてから目を開ける。
就寝前にベッドに横になった状態で自律訓練法を実践する場合は最後の消去動作はせず、そのまま目を開けずに眠りに入っていきましょう。