FYTTE

Healthcare
CATEGORY : ヘルスケア |疲れ

休んでも疲れがとれない人へ。足りないのは「自分に合う休み方」の認知とリストアップ? 『休養学』片野秀樹先生に聞く第2回

Share
休んでも疲れがとれない人へ。足りないのは「自分に合う休み方」の認知とリストアップ? 『休養学』片野秀樹先生に聞く第2回

『休養学』の著者で、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事の片野秀樹先生に休養についてお話を聞くシリーズの2回目。今回は、休むための心得や休み方のタイプ、FYTTE2026年下半期ヘルスケアトレンドワードに選出した「休養リチュアル」などについて伺いました。

Contents 目次

あなたはどんな休み方をしてきた? 自分の休養行動をリストアップ

――生活習慣や疲労の内容は人それぞれですが、休むために共通の心得のようなものはあるのでしょうか。

片野先生:休まずに、今まで生きてきた人っていないんです。どんなに忙しくても、必ずどこかで休んでいる。裏を返せば、じょうずに休養をとっているということです。「どのような休み方が私には良いですか?」と聞かれることがありますが、私は「わかりません」と答えます。なぜかというと、音楽を聞くのが好きだといっても、速いテンポが好きな人もいれば、遅いテンポが好きな人もいるように、人それぞれだからです。

そうなると大事なのは、生きてきたなかで「自分はこんな休み方をしていたんだ」とその内容を認知することです。寝るだけじゃなく、近所の人との立ち話がストレス発散になっていたとか、ペットと散歩に行くとリラックスできたとか、それぞれに小さな休養行動があると思うんですね。これをまず認知してリストアップすること、言い換えると休養行動の“棚卸し”を、まずしてほしいと思います。

休養に関する知識をベースに休養行動を取捨選択し、改めて認知したら、小さなすき間時間でも「ちょっと瞑想してみよう」「アイマスクしながら上を向いて1分間休んでみよう」など、その休養行動を自分のすき間時間に当てはめ、再現できるようになっていきます。それが活力の小さなアップにつながるんです。

――リストアップするときに、その行動が自分の休養になっていたかどうかの目安はありますか?

片野先生:休養には大きくわけて、社会的休養、心理的休養、生理的休養があります。社会的休養には①転換タイプ、心理的休養には②造形・想像タイプ、③娯楽タイプ、④親交タイプ、生理的休養には⑤栄養タイプ、⑥運動タイプ、⑦休息タイプがあります。まずは、休養方法には7つのタイプがあるということの認知が、自分がしてきた休養についての気づきにつながります。

“休養リチュアル”とは「仕事終わりから翌日の出社までをどう過ごすか」

――FYTTEでは、2026年下半期ヘルスケアトレンドワードに「休養リチュアル」を選出しました。休養の専門家としての印象をお聞かせください。

片野先生:儀式として何をするかということ、つまり習慣化すること、ルーティーン化するということですよね。このときぜひ意識していただきたいのが、厚生労働省も最近推し進めている「勤務間インターバル」の過ごし方です。制度としては、仕事が終わってから翌日の出社までの間にインターバルを設けて休息や睡眠の時間を確保するというものですが、「休養リチュアル」はつまり、この勤務間インターバルのマネジメントを意識することともいえるのかなと思います。もっと言ってしまうと、勤務間インターバルの時間割を作ろうということです。

――多くの人が活動のための予定を立てたことがあると思いますが、オフの時間の時間割というのはなかなかイメージできません。

片野先生:みなさん用事を済ませて、残った時間はダラダラ過ごしてちょっと寝ればいい、みたいな発想になりがちですね。でも、この時間が次の行動のためのエネルギーを貯めるときなので、しっかりマネジメントできる人ほど次のタスクをしっかりこなせる。「働き方じょうず」「生き方じょうず」になれるともいえます。

――リカバリーがうまくできている、ということでしょうか。

片野先生:日本リカバリー協会では、リカバリーについて「心身の活動能力の減退した機能を回復し、休養をもって生理的・心理的資本である活力を蓄えて次に備えること」と定義しています。つまり、リカバリーの目的は何かというと次のアクションなんです。仕事が終わってからなんとなく休み、翌朝疲れていようがパフォーマンスが出しづらい状態だろうが、なんとなく会社に行くのはプロ失格。アスリートではなくても、100%の状態で仕事に向かうのは当然で、結果は収入をも左右するというのに、意識が希薄な人が多いと思うんです。

休養リチュアルという言葉が注目される背景には、どう時間をマネジメントして、どういう儀式をすれば、最高の状態で朝を迎えられるのか。そのことを自分自身で考えることが問われているという現状があるのではないかと思いました。

朝までの時間を逆算し、何をして過ごすことが自分の本当の活力につながるのかというのは、先ほどお話しした休養行動の棚卸しが役立つと思います。自分に合ったものを組み合わせ、自分だけの時間割を作ってみてください。

ワークライフバランスより「ライフワークバランス」! 先に休む時間を確保しよう


片野先生:ちなみに、「ワークライフバランス」という言葉、私は大嫌いなんです(笑)。ワークが先にあると、残業して残った時間でバランスをとればいいということになりがちなので、私はむしろ「ライフワークバランス」がいいと思っています。

たとえば貯金の話でいうと、残ったお金を貯金すれば貯まっていくだろうという発想の人は貯まらない。でも、最初からお金を分けて取っておく人は貯金ができる。私たちの生活も、最高のパフォーマンスを出すために必要なオフの時間を取っておけば、その結果、効率がアップし、10時間かかっていた仕事が8時間で終わるかもしれません。

――幸福感や生活の質を高めたり、やりたいことをやったりするためにも、「ライフワークバランス」の意識が大事なのですね。

片野先生:みなさん「疲れた」「もう休みたい」という言葉をよく口にされますが、やりたいことがあるからこそそういう言葉が出てくると思うんです。やりたいことをするために、オフの時間をどう過ごし、どう自分自身の活力を高めてオンの時間の効率を上げるか。そういう意識をもってオフにフォーカスすることで、やりたいことをやれる、よりよい暮らしができるのではないでしょうか。

自分に合った休養を、オフの時間に組み込んで

自分に合った休み方を見つけるヒントは、これまでの自分の行動のなかにあります。まずは、どんなときに気持ちが落ち着いたのか、どんな過ごし方で元気をとり戻せたのかを振り返り、休養行動を“棚卸し”してみましょう。

そのなかから自分に合うものを選び、仕事が終わってから翌朝までの時間に組み込むことで、オフの時間を次の活動に向けて活力を蓄える時間へと変えていけそうです。

では、休養の専門家である片野先生は、実際にどのような休み方をしているのでしょうか。続く第3回は、片野先生ご自身が実践している「休養リチュアル」をはじめ、リカバリーウエアの考え方、休養とともに知っておきたい「疲労を抑える」という視点について伺います。

 

<この記事の監修者>

片野秀樹

博士(医学)。一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員などを歴任。現在は日本疲労学会評議員、博慈会老人病研究所客員研究員、日本抗加齢医学会指導士、株式会社ベネクス エグゼクティブフェローなどを務める。「休養」を学問として体系化した『休養学:あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)の著者。2025年には『毎日がんばるあなたのための 疲労学』(東洋経済新報社)を刊行し、疲労と休養について幅広く発信している。

一般社団法人日本リカバリー協会:https://recovery.or.jp/

取材・文/FYTTE編集部

関連記事

  1. Dietダイエット中でもおやつはあきらめたくない! 満足感たっぷり&小腹対策にお試し中のおやつ2つ #Omezaトーク

    ダイエット中でもおやつはあきらめたくない! 満足感たっぷり&小腹対策にお試し中のおやつ2つ #Omezaトーク

    0
  2. Fitness1日1回! 夏冷えで体がガチガチ&たまった疲労を解消するストレッチ

    1日1回! 夏冷えで体がガチガチ&たまった疲労を解消するストレッチ

    32
  3. Lifestyleおいしい、新鮮、時短…といいことがいっぱい! オランダではミールキットが大人気♪

    おいしい、新鮮、時短…といいことがいっぱい! オランダではミールキットが大人気♪

    18
  4. Healthcareいつでもさわやかな息をキープ! 自宅&外出先で簡単口臭ケアが叶う愛用アイテム3選をご紹介 #Omezaトーク

    いつでもさわやかな息をキープ! 自宅&外出先で簡単口臭ケアが叶う愛用アイテム3選をご紹介 #Omezaトーク

    0

おすすめの記事PICK UP