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熱帯夜のイライラは美容の大敵! 内科医兼心理カウンセラーが教える、脳を休ませて美肌を守るワンポイントアドバイス

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熱帯夜のイライラは美容の大敵! 内科医兼心理カウンセラーが教える、脳を休ませて美肌を守るワンポイントアドバイス

暑くて寝苦しい夏の夜。ようやく眠れたと思ったのに、夜中に目が覚めてしまうことはありませんか? 時計を見ると、まだ午前2時。「明日も早いのに、眠れなかったらどうしよう」そんな不安が浮かんだかと思えば、昼間に言われたひと言や、うまくできなかったこと、誰かへの不満まで次々と思い出してしまう。考えても仕方がないとわかっているのに、頭の中では同じ出来事が何度もくり返され、ますます目がさえてしまいます。実は、この「眠れないことへの焦り」と「頭の中のひとり反省会」が、夏の美容にとって大きなロスになることがあるといいます。内科医兼心理カウンセラーの野上徳子先生に解説していただきました。

Contents 目次

夜中の「ひとり反省会」が脳を休ませない

過去のできごとや心配ごとをくり返し考え続けることを、心理学では「反すう思考」といいます(Nolen-Hoeksema, 1991ほか)。

「あのとき、違う言い方をすればよかった」
「どうして私ばかり、こんな思いをするのだろう」
「明日もうまくいかなかったらどうしよう」

このような考えが浮かぶこと自体は、決して珍しいことではありません。しかし、夜中に同じ考えを何度も巡らせていると、体は横になっていても脳は問題に対処しようと働き続けます。

非臨床の成人を対象とした55件の研究を統合した解析では、反すうや心配と主観的な睡眠の質の低下、入眠までの時間の延長とのあいだに、無視できない関連があることが示されています。さらに、ストレスのあとに反すうを続けた人ほど、実際に眠りに入るまでの時間が客観的に延びていたという研究報告もあります。

「早く眠らなければ」と焦るほど緊張が高まり、眠りから遠ざかってしまうこともあります。眠れない夜に必要なのは、ムリやり眠ろうとすることではありません。まずは、頭の中で始まった反省会を静かに終わらせ、脳を「考えるモード」から「休むモード」へ切り替えることが大切です。

睡眠不足とストレスは肌の回復を妨げる

睡眠は、単に体を休ませるだけの時間ではありません。日中に受けたさまざまなダメージから、心と体を立て直す時間でもあります。

肌も同じです。米国の大学で行われた健常女性60名の比較研究では、睡眠の質がよいグループは、肌に軽い刺激を与えたあとのバリア機能の回復力が、睡眠の質が悪いグループよりも3割ほど高く、紫外線を受けたあとの赤みからの回復も良好だったことが報告されています。睡眠が不足すると、肌のバリア機能そのものの回復が遅れる可能性があるということです

ストレスも肌と無関係ではありません。介護など慢性的なストレスを抱える人を対象にした研究では、同年代の人に比べて、小さな傷の治りが平均で1週間以上遅かったことが報告されています。ストレスが続くと炎症が起こりやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることは、その後の複数の研究を統合した解析でも支持されています。ニキビや湿疹など、もともとある肌トラブルが悪化する人もいます。

熱帯夜による睡眠の中断に、イライラや不安が加わると、脳も肌も十分な回復時間を確保しにくくなります。高価な化粧品を使うことだけが美容ではありません。夜に脳をきちんと休ませることも、美肌を守る大切なセルフケアなのです。

ベッドの中で思い出す「3つの小さな感謝」

夜中に目が覚めて、頭の中に不安や愚痴が浮かんできたときは、考えないように抑え込む必要はありません。

「今、私は昼間のことを思い出しているな」
「早く眠らなければと、焦っているな」

そう気づくだけでも十分です。そのうえで、意識を「今日あった3つの小さな感謝」へ向けてみましょう。

たとえば、

「冷たいお茶がおいしかった」
「店員さんが笑顔で対応してくれた」
「無事に家に帰ることができた」
「エアコンのある部屋で休めた」
「今日も体が1日動いてくれた」

このような、ごく小さなことでかまいません。大きな幸運を探す必要も、ムリに「感謝しなければ」と自分に言い聞かせる必要もありません。

今日あった「少しよかったこと」「助かったこと」「ほっとしたこと」をひとつずつ思い出してみてください。そして、それぞれについて心の中で、「ありがたかったな」「うれしかったな」と、数秒間味わいます。3つ思い出せない日はひとつでも大丈夫です。途中で眠ってしまったらそれはむしろ理想的です。

感謝は脳を回復モードへ導く「意識の切り替え」

感謝したからといって、悩みや問題がなくなるわけではありません。それでも眠る直前に意識をどこへ向けるかによって、心と体の状態は変わります。

不安や不満を考えているとき、脳は「危険なことはないか」「問題を解決しなければ」と警戒し続けます。一方で、その日にあった安心や喜びを思い出すことは、注意を「足りないもの」や「心配なこと」から、「すでにあるもの」「大丈夫だったこと」へ移す作業です。

40%が臨床的な睡眠の問題を抱えていた400名超を対象にした研究では、感謝の気持ちが強い人ほど、眠る前に否定的な考えが少なく肯定的な考えを持ちやすいことを通じて、主観的な睡眠の質や入眠までの時間、日中の調子が良好だったことが報告されています。

また、短期間の感謝の実践によって睡眠の質や心理的な幸福感が改善したという報告もあります。ただし、感謝の実践だけで不眠が治るとまでは言い切れません。研究結果にはばらつきがあり、今後さらに検証が必要とされています。

大切なのは、感謝を「ポジティブにならなければいけない」という新たな義務にしないことです。イヤだったことをムリに肯定する必要もありません。「イヤなこともあった。でも、よかったこともひとつあった」その両方を認めながら、眠る前の最後の意識を、小さな安心へ戻してあげるのです。

眠れない夜こそ、肌ではなく脳から整える

熱帯夜には「寝室の温度や湿度を整える」「通気性のよい寝具を使う」「汗をかいたら着替える」といった暑さ対策も欠かせません。そのうえで、夜中に目が覚めたときは、時計やスマートフォンを何度も確認するよりも、目を閉じたまま「今日の小さな感謝」を3つ探してみてください。

「眠らなければ」とがんばらなくても、「横になって静かに休むだけでよい」と自分に許可を出すことも大切です。美しさは、外側から何かを足すことだけで作られるものではありません。脳を緊張から解放し、心と体が本来持っている回復力を発揮できる状態を整えることも、美と健康を再構築する生理学的なセルフケアのひとつです

暑さやイライラで眠れない夜は、「今日ありがたかったことは何だろう?」と1日の終わりに問いかけてみましょう。その小さな問いが脳を休ませ、明日の肌と心を守るための新しい夜のルーティンになるかもしれません。

※不眠が長く続く、日中の生活に支障が出ている、気分の落ち込みや強い不安を伴う場合は、セルフケアだけで抱え込まず、医療機関へ相談してください。

 

<この記事の監修者>

医師/心理カウンセラー 野上徳子(のがみ とくこ)

久留米大学医学部卒業後、岡山大学第一内科に入局。複数の病院勤務を経て、現在は松山市内の病院で内科診療に携わる。医学と心理学の視点から「心と身体のつながり」を探究し、産業医・心理カウンセラーとしても活動している。「医療のパラダイムシフトサミット」主宰。

公式HP:https://self-integration.net/

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