朝起きても疲れがとれない、夏の疲れを引きずって体が重い…。季節の変わり目に現れる、原因がはっきりしない不調を「年齢や体質のせい」と考えていませんか? 総合内科専門医・健康スポーツ医の梶 尚志(かじ・たかし)先生は、その原因が実は「習慣にあるかもしれない」といいます。梶先生には全4回にわたり、秋の不調の背景とセルフチェック、食事、運動など、毎日のコンディションを整えるヒントを教えていただきます。第1回は、秋に不調を感じやすい理由をひも解くところからスタートです。
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「秋バテ」は正式な病名ではない

季節の変わり目に「涼しくなってきてから不調続き…これって秋バテ?」「寒くなって体が重いのは冬バテかも」といった声をよく聞きます。しかし、梶先生いわく、「秋バテ」や「冬バテ」は、正式な病名ではないとのこと。
梶先生「夏の終わりから秋口にかけて、体が重い、疲れが抜けないと訴える人は少なくありません。ただし、『秋バテ』や『冬バテ』は正式な病名ではなく、季節の変わり目に感じる不調を表す通称です」
背景には、夏の暑さによる睡眠不足や食欲低下、運動不足など、いくつもの要因が重なっていることがあります。こうした状態が続いたまま気温差の大きい時期を迎えると、体が変化に対応しにくくなり、だるさや疲労感につながることがあるようです。
梶先生「多くの場合、日ごろの食事、睡眠、運動などの生活習慣の乱れが土台にあります。夏の猛暑で十分に眠れない、食欲が落ちて必要なエネルギーを補えないといった状態のまま秋や冬を迎えることで、体が気温の変化についていきにくくなるのです」
自律神経は活動と休息のバランスが大切

また、秋冬の不調を説明するときによく聞くのが、「自律神経の乱れ」という言葉です。自律神経は、血圧や心拍、体温などを、意識しなくても調整している神経。活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経がバランスをとっています。
梶先生「夜更かしを続けたり、夜遅くまでテレビやスマホを見て脳を刺激したりすると、本来休むべき夜間も交感神経が緊張しやすくなります。休息モードへ切り替わりにくくなると、睡眠の質が下がり、翌日のだるさや疲労感につながることがあります」
朝起きても疲れが残る人は、睡眠時間だけでなく、就寝前の過ごし方も振り返ることが重要です。
30〜50代女性に重なりやすい3つの負担

さらに梶先生が30〜50代女性の不調を考えるうえで注目するのが、鉄不足、たんぱく質不足、閉経前後のホルモン変動です。
梶先生「女性は月経によって定期的に鉄が失われます。さらに、体型を気にして食事量を減らしたり、食べるものが偏ったりすると、鉄やたんぱく質を十分に補いにくくなります。40〜50代では女性ホルモンも大きく変動するため、ほてり、不眠、気分の変化、強いだるさなどが重なる人もいます」
食欲がないからと、そうめんやパンなど食べやすいものだけで済ませると、エネルギーは補えても、筋肉やホルモンの材料となるたんぱく質や、鉄などのミネラルが不足しやすくなります。
梶先生「さらに、この年代は仕事や子育て、親の介護など、生活上の負担も重なりやすい時期です。不調の原因をひとつに決めつけず、食事、睡眠、運動、生活環境をまとめて振り返ることが大切です」
「秋バテ」「冬バテ」は正式な病名ではなく、夏から続く睡眠不足や食生活の乱れ、運動不足、ホルモンの変動、生活上の負担などが重なって現れる不調の総称です。年齢や体質だけのせいにせず、まずは毎日の習慣を振り返ってみましょう。第2回は、食事・睡眠・生活・運動の4つの視点から体調を振り返る「10項目のセルフチェック」と、医療機関を受診する目安を紹介します。
取材・文/FYTTE



