「高野豆腐がダイエットに役立つかもしれない」そんな研究報告がSNSで大きな話題を呼びました。信州大学の研究チームが明らかにしたのは、高野豆腐由来のたんぱく質が脂肪燃焼を促進し、肥満予防に役立つ可能性があるということ。そのカギを握るのが「レジスタントプロテイン」と呼ばれる成分です。食事から“やせホルモン”を増やせるかもしれないという注目の研究について、信州大学医学部教授・田中直樹先生の解説をもとに紹介します。
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話題! 高野豆腐由来のたんぱく質とは?

近年、「やせホルモン」と呼ばれるホルモンの働きに注目が集まっています。その代表がGLP-1(ジーエルピーワン)です。GLP-1の効果とは? 食事から増やすことができるという注目の研究について、信州大学医学部教授・田中直樹先生に教えていただきました。
「GLP-1は食後に小腸から分泌されるホルモンで、食欲を抑えたり、血糖値の急上昇を防いだりする働きがあります。近年は肥満治療薬にも活用されていることから耳にしたことがある人も多いでしょう。
今回注目されているのは、高野豆腐に含まれる“レジスタントプロテイン”です。レジスタントプロテインとは、消化酵素で分解されにくい性質を持つたんぱく質のこと。食物繊維と似た働きを持ち、胃や小腸で消化されずに大腸まで届くのが特徴です。高野豆腐は、豆腐を凍結・熟成・乾燥させる過程で、このレジスタントプロテインが豊富に生成されることが知られています。
信州大学の研究では、このレジスタントプロテインが腸内環境に働きかけることでGLP-1の分泌を促し、脂肪燃焼につながるメカニズムが示されました。つまり、高野豆腐を食べることで、体が本来持つ“脂肪を燃やしやすい仕組み”をサポートできる可能性があるのです」(田中直樹教授)
やせホルモン「GLP-1」を増やす「レジスタントプロテイン」には、どんな健康効果があるの?
「レジスタントプロテイン」の期待できる健康効果について、田中直樹教授の解説のもとご紹介します。
5つの健康効果

1.血糖値コントロールをサポート! やせホルモン「GLP-1」を産生
GLP-1にはインスリンの分泌を促し、食後の血糖値上昇をおだやかにする働きがあります。血糖値の急上昇は脂肪蓄積につながるため、食後血糖を安定させることは体重管理の面でも重要です。高野豆腐由来のレジスタントプロテインは、このGLP-1の分泌を促すことで、血糖値コントロールのサポートが期待されています。
2.脂肪燃焼を促進・食欲を抑える働きも
今回の研究で特に注目されたのが脂肪燃焼・食欲抑制への作用です。レジスタントプロテインによってGLP-1が増加すると、エネルギー代謝が活性化されることで、体脂肪が燃えやすい状態・食欲を抑制に働くことがわかっています。また、GLP-1は、胃の動きをゆっくりにする、食欲を抑える効果があることから、肥満治療薬としても応用されています。ムリな食事制限ではなく、「食べながら代謝を整える」という新しい視点として注目されています。

3.コレステロール低下への期待
レジスタントプロテインには、胆汁酸やよぶんな脂質を吸着して体外へ排出する働きがあることも知られています。そのため、肝臓では新たに胆汁酸を作るため、コレステロールがどんどん使われていき、血中コレステロールの低下や脂肪肝の予防に働くと考えられています。生活習慣病予防の観点からも注目されている成分です。
4.腸管バリア機能を強化
近年は「腸もれ(リーキーガット)」という言葉も知られるようになりましたが、腸もれとは、腸のバリア機能が低下し、腸からもれだした異物が血中に入ってしまうことです。
レジスタントプロテインは、抗菌ペプチドを増やし化学的バリア(腸管バリアのひとつ)を強化することもわかっています。これにより、腸内のウイルスや細菌の破片など炎症物質を無効化し排除、血中の侵入を防ぎます。
5.免疫の活性化にも期待
レジスタントプロテインは、免疫細胞に働きかけてINFγ(インターフェロンガンマ)というサイトカインの産生を促します。INFγは免疫システムにとって大変重要なサイトカインで、細胞性免疫の働きを活性化します。細胞性免疫とは、ナチュラルキラー細胞やマクロファージ、キラーT細胞といった免疫細胞が、細菌やウイルスを撃退する免疫システムのこと。ヨーグルトに含まれる一部の乳酸菌が免疫を活性化する働きが知られていますが、同様の働きがレジスタントプロテインにも存在することがわかってきました。
まずは毎日の食事にとり入れてみよう!
高野豆腐は昔から親しまれてきた伝統食品ですが、近年の研究によって新たな健康価値が明らかになってきました。食物繊維のような働きを持つ「レジスタントプロテイン」が、腸内環境を整え、やせホルモンGLP-1の分泌をサポートする可能性が示されています。
ダイエットや血糖値対策、腸活、免疫ケアなど、さまざまな健康メリットが期待できる高野豆腐。毎日の食事にじょうずにとり入れて、体の内側から健康作りを始めてみてはいかがでしょうか。
やせホルモン「GLP-1」を増やす「レジスタントプロテイン」が含まれる食材と食べ方
レジスタントプロテインは、大豆・豆腐食品に多く含まれています。とくに冷凍、圧縮などといった加工をした豆腐食品に多く含まれています。凍る、圧がかかることにより、たんぱく質が凝縮され難消化性のレジスタントプロテインが増えるようです。
具体的には、豆腐を凍らせて作る高野(凍り)豆腐、豆腐を圧縮して作る豆腐バー、島豆腐(沖縄のかたい豆腐)などに多く含まれていることがわかっています。
【レジスタントプロテイン含有量】

また、食べ過ぎや肉料理、揚げものが好きな人は豆腐食品と一緒にとるのがおすすめです。高野豆腐を肉に混ぜてハンバーグにする、島豆腐をサラダと一緒にとる、豆腐バーをそのまま食べるなど。積極的に豆腐食品を食事にとり入れることでレジスタントプロテインの摂取につながり、血糖値やコレステロール、肥満対策にもなります。
「レジスタントプロテイン」が含まれる食材を使ったアレンジレシピ3つ

高野豆腐のそぼろ
高野豆腐を入れることで、同じ量のそぼろでも「かさ増し+たんぱく質アップ」ができ、脂質も抑えられます。
<材料(3人分)>
高野豆腐 3個(50g)
油 大さじ 1/2
にんにく(みじん切り) 1/2片
しょうが(みじん切り) 1/2片
砂糖 大さじ1
酒 大さじ1
濃口しょうゆ 小さじ2
みりん 小さじ2
顆粒鶏がらスープの素 小さじ1
<作り方>
1.鍋に3~4cmほどの熱湯を沸かし、高野豆腐を戻さずそのまま入れて火を止める。ふくらんできたら上下を返し、フタをして3~4分間おく。
2.ザルにあげて水を切り、鍋に戻して木べらやフォークで細かく崩す。
3.2の鍋にすき間を空けて、油を入れにんにく、しょうがをサッと炒めたら、Aを加えて全体を混ぜ合わせる。ときどき混ぜながら8~10分ほど汁気がなくなるまで煮詰める。

高野豆腐のフレンチトースト
高野豆腐の吸水性を活かせば、卵液や牛乳など甘みをたっぷり含ませられます。
<材料(2人分)>
高野豆腐 2枚
牛乳 1カップ(200ml)
砂糖 大さじ2
卵 1個
油 適量
<作り方>
1.鍋に牛乳と砂糖を入れて火にかける。沸騰したら高野豆腐を乾燥のまま入れ、弱火で4分煮る。電子レンジを使用する場合は、耐熱容器に牛乳と砂糖を入れて、ラップをして600Wの電子レンジで2分温める。高野豆腐を乾燥のまま入れ、ラップを2/3ほどして、4分加熱する。
2.水分がなくなってきたら火を止め、溶き卵をからめる。
3.フライパンに油を熱し、中火で2を両面焼き目がつくように焼く。

豆腐バーカプレーゼ
豆腐バーは水切り不要なので、1品が手軽にすぐ作れます。
<材料(1人分)>
豆腐バー(ゆずこしょう味がおすすめ) 1本
ミニトマト 4個
青しそ 2枚
エキストラバージン オリーブオイル 大さじ1
塩 少々
粗びき黒こしょう 少々
<作り方>
1.豆腐バー(ゆずこしょう味)を10等分にカットする。ミニトマトは洗って水気を切り、5mmくらいの輪切りにする。青しそは軽く洗って水気を切り、茎の部分をカットして葉の部分を6等分にする。
2.器にトマト、豆腐バー、青しその順に並べて塩、粗びき黒こしょうを振り、エキストラバージンオリーブオイルを回しかける。
「やせホルモン」が増える「レジスタントプロテイン」を使ったアレンジレシピ、ぜひ、作ってみてくださいね! おいしく食べて健康的な体を作りましょう!
監修者:田中 直樹(たなか なおき)先生
信州大学医学部教授、学部長補佐(国際連携、広報、節電、寄附金担当)。
1995年信州大学医学部卒、2002年信州大学大学院医学系研究科卒業、2009年ー2014年、米国国立衛生研究所 癌研究施設 代謝研究部門 客員研究員、2014年信州大学大学院医学系研究科代謝制御学講座准教授、2021年から現職。
文/FYTTE編集部



