「最近、フェイスラインのもたつきやほうれい線が気になる…」そんな悩みの意外な原因が「舌」にあるかもしれません。岡山大学の研究では「舌の力が弱い人は全身が老化(筋肉の衰え)と関連する」ことが判明。※岡山大学プレスリリース/口腔衛生学会雑誌 74巻1号(2024年)若年層と、高齢層の舌圧が低い割合が同等というデータもあります。今回は、口もとのスペシャリストである歯科衛生士・石野由美子先生監修のもと、「落ち舌」の正体と、今日からできる対策法をご紹介します。
Contents 目次
老け顔・たるみを早める「落ち舌」とは?
舌の力が弱い人は、全身が老化する!?
岡山大学が60歳以上を対象に行った調査で、舌圧(舌の筋力)が弱い人ほど栄養状態が不良で、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量・筋力の低下)の割合が高いことが判明しました。舌の筋力を維持・向上させることが、サルコペニア予防、ひいては健康寿命の延伸につながる可能性が示されています。
女性の舌力は18歳から落ちていく!?
「まだ若いから大丈夫」と思っていませんか? じつは若年期(18~39歳)の女性において、舌圧が基準よりも低い該当者が、高齢期(65歳以上)と同程度の割合で存在しているというデータも。年齢を問わず、今のうちから対策しておきたいポイントです。
「落ち舌」を招く3つの現代背景
舌が本来あるべき上あごの位置から下に落ちてしまうことを「落ち舌」と言います。現代人にこの状態が増えている背景には、次の3つが挙げられます。

1.食の軟化
やわらかい食事の増加で「かむ回数」が激減。咀嚼で鍛えられるはずの舌や口まわりの筋肉が育たず、舌を上あごに保つ力が衰えている。
2.デジタル猫背
スマホを見るときの前傾姿勢が定着。重力で舌が後ろ・下方向に引っ張られ、落ち舌を加速させている。
3.アレルギーの増加
日本人の約2人に1人が鼻のアレルギーを抱えるとされ、口呼吸が常態化。口が開きっぱなしで、舌が落ちて、口呼吸している。
見た目年齢にも直撃。たるみ・ほうれい線の正体
舌は内側から顔の輪郭を支える筋肉のひとつ。「落ち舌」によって舌や口輪筋が衰えると、ほおがたるみ、ほうれい線やフェイスラインのもたつき、口角下がりなど、見た目年齢を大きく押し上げてしまいます。
さらに舌は、食べものを歯の上に運ぶ「ベルトコンベヤ」の役割も担っています。舌が落ちると咀嚼効率が下がり、かむ力そのものが弱まることに。さらには舌はゴックンと飲み込む役割も担っています。オーラルフレイルから、やがて全身フレイルへとつながる可能性もあるのです。
「舌トレ」習慣をはじめよう! 対策法2つ
対策のコツは「口まわりの筋肉」、とくに「舌の筋肉」を鍛えて「落ち舌」を改善することです。まずは今のあなたの状態をセルフチェックしてみましょう。

まずはセルフチェック!
【その1】今、舌はどこにふれていますか?
正しい位置:舌全体が上あごにおさまっていて、舌先が前歯の裏のくぼみにふれている。
よくない位置:舌が下あごにおさまっている/舌先が下の歯の裏や上下の歯の間にある。
【その2】1秒間に「タ」を6回、言えますか?
6回未満の場合は、舌の力が落ちた「落ち舌」のサインかもしれません。
【準備運動】

1.唇をとじて右ほお、左ほおをそれぞれ大きくふくらませる。唇に力を入れすぎない。

2.唇をとじて唇の上側(鼻の下)に空気をため、ふくらませる。

3.唇の下側も同様に、空気をためて、ふくらませる。
トレーニング法1、「ガムトレ(咀嚼トレーニング)」
かむという動作は、舌・あご・ほお・口輪筋を一度に動かす「お口の総合トレーニング」。ロッテが21~49歳の女性56名を対象に行った研究(2023年7月)では、ガムを1回2粒×10分間、毎食前に8週間かみ続けたところ、左右のフェイスライン角度が平均で右が2.1度、左が1.6度引きあがる結果が確認されました。
※松井美咲ら「ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響-オープンランダム他平行群間比較試験-」アンチエイジング医学,19(3);49-53,2023
ガムをかむことで期待できる、そのほかのうれしい効果も!
肌のハリ改善:断続的な咀嚼でほおの弾力がアップした報告も。顔の表面温度が上昇し、血流アップの可能性。また、ガムをかみ続けることでエラが張るといわれた時期もありましたが、エラが張ることはなく、逆に下あごと上あごの骨密度が増加したという研究結果もあります。
※J Korean Dent Sci. 2014;7(1):16-24(Journal of Korean Dental Science)
すっきり鎖骨ライン:表情筋を動かすようにかむことで、鎖骨ラインや表情作りにも好影響が期待できる。
トレーニング法2、「舌トレ(ベロ回し体操)」
「舌トレ(ベロ回し体操)」では、舌の筋肉だけでなく、口の中・顔・ほお・のど・首・あご・頭にある多くの筋肉が刺激されます。とくに咀嚼や嚥下に関わる筋肉をまとめて鍛えられるため、咀嚼力の向上やスムーズな嚥下にもつながります。

ベロ回し:唇を閉じたまま、舌で歯の外側・ほおの内側を押してをなぞるように時計回り・反時計回りにそれぞれ20回まわす。

ベロ押し:上あごのスポット(前歯の少し後ろ)に舌先をしっかり押しつけ、5秒キープを3回くり返す。

ベロ出し:口を開いて舌をできるだけ前に突き出し、3秒キープを3回くり返す(むくみ・くすみ対策に)。
これらは食前の10分間で行うのもおすすめ。ウォーミングアップ→舌トレ→クールダウンの流れで、舌・ほお・口輪筋を効率よく鍛えられます。
舌の位置は、毎日の意識ひとつで変えられます。「タ」を6回言えるかのセルフチェックから、ぜひ今から試してみてください。
【監修者】
石野由美子先生 歯科衛生士/健康咀嚼指導士
日本咀嚼学会認定健康咀嚼指導士、日本成人矯正歯科学会認定矯正歯科衛生士、フェイスニング公認講師、日本口腔筋機能療法(MFT)学会副会長。二子玉川ガーデン矯正歯科勤務。昭和医科大学歯科病院口腔機能リハビリテーション科に非常勤勤務し、口腔機能障害に対する口腔リハビリテーションを専門に行う。著書:『愛され笑顔をつくる口元エクササイズ「若返り!モデルスマイル塾」』(小学館)ほか
文/FYTTE編集部



